まあ、お前があいつと仕事し
て苦労するのはそうだろうなあ
と思うよ。
と、俺が仲良くしている会社の先輩は
言った。あいつというのは、例のあの
同僚のことだ。
そういいますけどね、先輩。苦労する
とかなんて簡単に言ってすまされるよ
うな苦労じゃないんですから。
俺は酒の勢いもあって、先輩に反論し
た。この人と飲みに来るのもずいぶん
久しぶりだ。2軒目になると、なおさ
ら言いたいことが止まらない。
酒の席で仕事の愚痴を言うのは無粋な
ことはわかってるつもりだが、色々た
まっているモノが噴出してしまった。
もう、いいかげん会社もわれわれに別
々の仕事を与えてくれてもいいんじゃ
ないですかね? 俺は続けた。
まあ、だけど外野から見てるとお前た
ち2人は良い組み合せだと思うがなあ。
なんていうかさ、アッパー・ストラク
チャー・トライアドみたいな関係とい
うかさ。先輩は言った。
俺はビックリして、先輩を見た。この
人からそんな言葉を聞くとはおもわな
かった。
え? 先輩、もしかして音楽やってた
んですか? 俺はたずねた。
あれ? お前知らなかった? 俺、大
学の頃はジャズ研でキーボードやって
てさ、結構複雑なアレンジとか勉強し
たこともあったのよ。先輩は言った。
知らなかった。
だから思うんだけどさ、お前が下のほ
うのコードだとするじゃない。そこは
がっちりお前が固めてるんだけど、そ
の上のほうであいつが色々と妙なって
いうと語弊があるかもしれないけど、
いろんなトライアドを弾いて彩りがつ
くわけよ。
それがクライアントにも評価されてる
んじゃないの? 先輩は続ける。
やめちゃうには惜しいと思うんだけど
なあ。そう言って先輩はドリンクのお
替わりを注文した。
……
俺は、なんだか急に酔いが醒めていく
のを感じた。なんで俺のまわりには、
変な音楽のたとえ話ばかりしたがる人
間が多いんだ?
先輩は、色々と音楽理論を引き合いに
出して語りつづけた。俺はシラケて2
軒目にきたことを後悔していた。
だんだん睡魔が襲ってきた。その後、
俺の頭の上で、同僚がいろんな音を出
しながら跳びはねている夢を見たよう
な気がする。
気がついたら終電がなくなっていた。
※この話はフィクションですので、現
実の会社の先輩、飲み屋、バー、アッ
パーストラクチャー・トライアドなど
の音楽理論とは無関係です。きっと。
て、ことで。
それでは、また。( ̄▽ ̄)
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