えー、どうも。沢山のお運び
ありがとうございます。私が本
日のセッションホストを務めさ
せていただきます。
え? なんで机置いて座って張り扇持
ってるんだ? 机ってね、これ釈台と
いうんですがご存じありませんか?
(パン)※
私、本職は講釈師あるいは講談師と呼
ばれる講談を寄席なんかでやってる者
なんですが。まだ前座の身分でして、
生活も苦しいんで、師匠の許しを得て
副業といいますか、アルバイトでセッ
ションホストをさせていただいており
ます。
講談、ご存じでいらっしゃいますか?
歴史上の人物や出来事をこの張り扇で
調子をとりながら語って楽しんでいた
だくという演芸でございます。武勇伝
とかかたきうちの話が多いんですが。
学生の頃、落研とジャズ研をかけもち
しておりまして。その関係でこういう
本業・副業をやっておりますんで。落
語を聴きに寄席に通ううちに講談に目
覚めて、講談師をめざすようになりま
した。めざせ次の神田○山というよう
なことで日々精進しております。(パ
ン)
で、さて。今日の演目じゃない曲目で
ございますが、これが!……あの「A
列車で行こう」という曲でございます。
かのデューク・エリントン楽団のこれ
はもう十八番中の十八番でございまし
て。
ジャズにお詳しくない方でも一度は聴
いたことがあるだろうという名曲でご
ざいますが、この「A列車で行こう」、
作曲したのは実は楽団の親方のエリン
トン本人ではございません。エリント
ンの盟友ともいうべきビリー・ストレ
イホーンという御仁で。(パン)
なんでも、音楽の著作権団体とラジオ
局の揉め事があって、エリントンが自
分の曲をラジオで放送できないという
ピンチに陥った時、ストレイホーンが
ならば俺の書いた曲を使えと言ってエ
リントンに指し出したのがこの曲だと
言われております。これにエリントン
が「すまねえ、一生恩に着るぜ」と言
った……かどうかはわかりませんが。
詳しいいきさつは、また別の機会に語
らせていただきますが(パン)そんな
わけで、元和元年一夜にして、じゃな
かった西暦1939年に書かれたこの曲
がエリントン楽団の主題歌として今に
残っているわけでございますが……
で、さて、今日はどうやりましょうか?
(続きます)
※張り扇で釈台を叩く音
て、ことで。
では、また ( ̄▽ ̄)