テレテレやってんじゃねーよ?

希望はよくわかりました。た
だ、実際の作業工程と照らし合せ
ると、もう2日ほど時間をいただ
きたいのですが……

 

コンピュータスクリーンの中のクラ
イアントの担当者に向かっておれは話
かけた。バックで作業しているチーム
のリーダーから、なんとか時間を稼い
でほしいと言われているのだ。

 

クライアントの担当者は、どう答えた
ものか悩んでいるようだった。向こう
は向こうで色々言われているのだろう。
それはわかるが少しでも時間が欲しい。
2日くれと言っておいて、1日で折合
う。それが俺の作戦だった。

 

今日は、と例の同僚は東京にいなが
ら、オンラインのビデオ会議システム
を介してクライアントとテレカン打合
をしているのだった。最近ではPC
やらスマホからでも参加できるので、
同僚にいたっては、自宅から参加して
いる。

 

明日のギターデュオライブのために
家で練習する必要があるのだそうだ。
練習の時間が削られる、とんだテレワ
ークだとかいって、だいぶ文句を言っ
ていたが、何食わぬ顔でスクリーンに
は写っている。

 

クライアントの担当者が意を決して何
かを言おうとしたその時、同僚が一足
先に話し出した。

 

いや、やはりそれはわれわれの責任で
ご希望の日時にお収めできるようにす
るべきだろう。

 

同僚は言った。俺はあごが床におっこ
ちそうになるのを右手で受止めた。

 

ちょ、ちょっと、ま……

 

俺は言おうとしたが、その瞬間、クラ
イアントの声が返ってきた。

 

素晴しい!さすがですね。よろしくお
願いします!すぐに現場にひと言報告
してきます。ちょっと失礼。

 

俺が何かを言うまもなく、クライアン
トの担当者コンピュータを離れて部
屋を出ていくのが見えた。

お、おい、なんでそんな約束するんだ
よ。うちの現場から大クレームになる
ぞ。俺は同僚に言った。

 

大丈夫だよ。どうせ連中もこれくらい
想定内だから。同僚は涼しい顔で言う。

 

何言ってるんだよ。おまえは休んでる
んだから現場からどやしつけられるの
は俺なんだぞ。

 

大丈夫だって、気の小さい奴だな。こ
こでクライアントに恩義を感じてもら
えれば先々色々やりやすくなるだろう
が。

 

そ、そりゃそうかもしれないが……

 

だろう。さ、戻ってくるぞ、そろそろ。

 

同僚がそういうのとほぼ同時に、クラ
イアントの担当者がドアを開けて入っ
てきたのが見えた……

 

……

 

目が覚めるともう夕方近くなっていた。

 

目の前のコンピュータのビデオ会議
とうに終了しているようだった。

 

スクリーンの片隅同僚からのメッセ
ージが入っているのが見えた。

 

『ビデオ会議でも寝ちまうのかおまえ
は?お得意には上手くごまかして会議
は終わらせといたから、現場にはしっ
かりネゴっといてくれ俺は明日はラ
イブなんで会社休むのでよろしく』

 

俺は呆然としてスクリーンを眺めてい
た。と、スマホ現場のチームリーダ
ーからの着信が入ってきた。俺がビデ
オ会議の結果を知らせないので、しび
れを切らして掛けてきたのだろう。

 

俺は恐ろしくて電話に出られないまま
スマホを見つめていた。

 

このお話はフィクションですので、
現実のテレカン、テレワーク、クライ
アントとは無関係です。きっと。

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

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