その日、俺は少しばかり浮れ
た気分で久しぶりに出社した。
なぜ浮れていたかというと、ついにあ
の同僚と別れて仕事をすることになっ
たからだ。
その理由が、社長の発案で社内の優秀
な「スタープレーヤー」が集められて
「ドリームチーム」が作られることに
なり、それにあの同僚が選ばれたとい
うのは、かなり(というかすごく)気
にくわなかった。だがしかし、それを
上回る解放感で、俺は浮れていたのだ。
その日は、新たなチームの顔合せをし
たい、最初だからリアルでという部長
の声掛けで、出社することになった。
俺にはまったく異存はない。新たな仕
事仲間が誰になるか、それにも興味が
あった。
俺は、会議室のドアを開けた。
と、そこには部長が1人で座っていた。
おはようございます。俺は言った。
お、おう、おはよう。部長は言ったが
なにか歯切の悪い挨拶だった。
私の新しい仕事のパートナーはまだ来
てないんですね? 俺は尋ねた。
うん……それなんだけどな。実はちょ
っと問題があって。
問題? 俺はおうむ返しに聞いた。
そう……。つまりさ、ほら、よく色ん
なバンドのエース級を寄せ集めて、新
しいバンド組むなんてことあるだろ?
は? 何を言ってるんだこの人は?
俺は思った。また音楽の話か?
だけどさ、そういうのって、なかなか
うまく行かないじゃない? みんなエ
ゴが強すぎて、空中分解したりして。
部長は続けた。
俺はとても嫌な予感を感じないではい
られなかった。
……でさあ、例のあの社長のプロジェ
クトなんだが……
部長は説明を始めた。早い話、社内の
スーパープレーヤーたちが集められた
が、初回の会議から仲違いになって、
お互いこんな奴らと一緒に仕事はでき
ない、ということになったらしい。
つまり、社長プロジェクトは、白紙に
戻ったわけだ。
俺はさあ、最初から嫌な予感してたん
だよ。本部長にも言ったんだけどなあ。
部長は、俺に目を合わさないで言った。
で、まあ、すまんが……
……ちょ、ちょっと待ってくださいよ。
俺はいった。じゃあ、次の仕事の俺の
パートナーは……
と、そこで会議室のドアが開いた。
そこに誰がいるか、俺には分かってい
たが、そちらを見る勇気は出てこなか
った。
※このお話はフィクションですので、
現実の会社、組織のスタープレーヤー
やドリームチームなどとは無関係です
たぶん。
て、ことで。
それでは、また。( ̄▽ ̄)
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