シーラ・ユーキと7人の小人

々、パーカッション
踊りの得意な女性ミュージシャ
ンがいました。

 

結城志摩子という古風な名前でしたが、
シーラ・Eに憧れていたので、シーラ
・ユーキという名前で YouTube演奏
動画とかをアップしていたところ、見
た目も悪くないので、そこそこファン
がつきました。

 

そこで、活動の幅を広げようと思った
シーラ・ユーキは周りでくすぶってい
た音楽仲間に声をかけて、7人編成の
のバックバンドをつくりました。

 

そして、シーラ・ユーキと7人の小人
という名前で、さらに動画を作ると同
時にライブハウスでのステージ活動
始めました。派手な衣装で、ファンキ
ーにパーカッションを叩きまくって歌
って踊るというステージはそれなりに
注目を集め、かなりの人気となりまし
た。

 

さて、そんなシーラ・ユーキの活動
横目で見て面白くなかったのが、同じ
ように YouTuber からのし上がろうと
していたある女性ミュージシャンでし
た。人生の苦悩を歌う陰キャな彼女の
動画は、それなりに受けたのですが、
再生数もフォロワーの数もシーラには
今一つ及びませんでした。

 

そんな、ある日……

 

なんの巡り合せか、とあるライブハウ
でこの陰キャの女性シンガーシー
ラのバンド対バンになったのです。
その時、陰キャのシンガーの頭にある
悪い考えが浮んでしまったのです。

 

シーラのバンドのちょうど1つ前のス
テージだったその陰キャ・シンガー
こっそりステージの上に飲んでいた水
をこぼしました。ちょうどシーラが
しく踊るあたりを狙って……

 

その日のライブハウスのスタッフは、
あまり注意力のない人だったので、ス
テージに水がこぼれたのに気がつかず、
そのままシーラのバンドをステージに
送り込んでしまいました。

 

そして、演奏が始まり、シーラ歌い
パーカッションを叩いて踊り始め
客はノリノリになりました。が、その
時、ステージの水ですべってバランス
を崩したシーラは、足をくじいて倒れ
てしまったのです。

 

シーラは倒れたまま起き上れません
演奏中断し、大騒ぎになりました。

 

と、その時、客席から1人の王子様の
ようないでたちの男性ステージに飛
び出してきたのです。

 

それはメジャー・デビューして人気が
出たものの最近活動に行き詰りを感じ
ていたあるミュージシャンの男性(説
明的)でした。シーラの噂を聞いて、
その日観に来ていたのです。

 

感動した。君はこんなレベルの小屋
満足していてはいけない僕と一緒
に活動しないか?」

 

聞きようによっては大きなお世話なそ
んなセリフともに、その男はシーラを
抱きかかえるとそのまま彼女を連去っ
てしまいました。

 

その後2人は一緒に活動を始め、さら
にメジャーなスターになっていったそ
うです。

 

「……」

 

残された陰キャなシンガーと「7人の
小人」はしかたなく新ユニットを組ん
だそうですが、鳴かず飛ばずで消えて
いきましたとさ。

 

おしまい。

 

てことで。

 

では、また  ( ̄▽ ̄)

 

 

どんちゃか茶釜ブラザーズ

かしむかし、あるところに
貧乏な道具屋がおりました。

 

ある日、古道具屋は一匹のタヌキ
にかかっているのをみつけ、かわい
そうになって助けてやりました

 

翌朝タヌキは古道具屋のところに
ってきて、こう言いました。

 

「昨日はありがとうございました
に、私が最近人気急上昇中ジャパ
ン・ビンテージギターに化けますか
ら、誰かに高値で売ってください」

 

そういうと、タヌキはくるりと宙返り
をして、最近注目トー○イレスポ
ール・タイプのギターに化けました。
ほぼ未使用状態で、木目見事なもの
でした。

 

すると、さっそく近所のお寺の和尚さ
が通りかかりました。ギターのコレ
クターとして寺に100本以上もギター
を持っている和尚さんは、

 

「これは見事な○ーカイだ。ぜひ譲っ
てほしい

 

と言って即金大金をはたいてタヌキ
の化けたギターを買っていきました

 

お寺にギターを持ち帰った和尚さんは
小坊主にギターをきれいにクリーニン
するようにいいました。小坊主は、
クロスオレンジオイルをつけて指板
を磨きはじめましたが、それがくすぐ
ったかったので、タヌキはおもわず

 

「お、おい、やめてくれ。きゃはは」

 

を出してしまいました。

 

ビックリした小坊主は、あわてて和尚
さんに報告しましたが。和尚さんは
じてくれません

 

「なにをバカなことを言っているのだ。
それより、ギターの弦を私の好きな
リクサーNANOWEB に張替えてお
くれ」

 

そこで小坊主は、ギターの弦を張替え
ようと、古い弦を外すのにペンチで切
ってしまおうとしましたが、タヌキは
化ける時ヒゲを使って弦に見せかけ
ていたので、

 

「あたたたた! 痛いじゃないか!」

 

と言って山へ逃げ帰っていきました

 

その晩、タヌキはまた古道具屋にあら
われて言いました。

 

「お寺は乱暴でいけません。私と一緒
に街へ行きましょう」

 

タヌキは古道具屋と夜の飲み屋街に行
って、ギターに化け2人(?)で流
をして地道に稼ぐことにしました。

 

このコンビは、ギター1本なのにバン
ドのような音がすると話題になり、
歌えば3声くらいでコーラスをつけ
たりするので、次第に夜の街の人気者
になりました。タヌキ化かされてい
んですけどね。

 

調子にのった2人は、見た目1人なの
「茶釜ブラザーズ」と名乗り、夜な
夜な流しで稼いで一財産作りました。

 

生活派手になっていきましたが、
の飲みすぎオーバーワークがたた
タヌキになり、古道具屋の
のかいもなく、死んでしまました
あっけないですね。

 

古道具屋和尚さんと相談して、丁重
タヌキを葬ってやりました。今でも
お寺にはレスポールの形をしたタヌキ
の墓があるそうです。おしまい。

 

教訓:恩返しの搾取はやめましょう

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

焼き芋とスパイスと俺とあいつと??

度もいうが、あいつと仕事
をするのが大変なのはよくわか
る。

 

部長は PC のスクリーン越しにそう言
った。

 

はあ、何度も聞いてますが、それはも
何の慰めにもならないので。は言
い返した。何度こんな会話をしなけれ
ばいけないのだろう。

 

毎度毎度、俺は部長との面談で、あの
同僚とのチームをそろそろ解消したい
懇願するのだが、受け入れてもらえ
ない。

 

まあ、そう言うな。俺は君とあいつの
組み合せは、焼き芋とスパイスみたい
なモノだと思っているんだが。部長が
また突拍子もないことを言い出した。

 

焼き芋……ですか?

 

うん。実は最近焼き芋に目覚めたんだ。
部長が身をのり出してくるのが画面越
しに見えた。変なものに目覚める人だ。

 

今、焼き芋ってスーパーにいくとどこ
でも売っているだろう? だけど、
焼き芋屋でしか買えなかっただろ?

 

はあ。どこに行こうとしてるんだ、こ
の会話は。

 

あれ、スーパーの中で焼き芋を焼ける
電気釜開発したメーカーがあったん
だな。それでここ20年くらいで一気に
全国のスーパーに広まったらしい。部
長は続けた。

 

そして、最近ではあのねっとりとスイ
ーツのように甘い安納芋とか紅はるか
とかいう品種が出てきている。冷めて
も甘くておいしい。自然な甘味で、
にもいい。

 

だが、この冷めた焼き芋をだな、輪切
にして、フライパンごま油かなん
かで焼いてやると、また別の美味しさ
が生れる。話が料理教室みたいになっ
てきた。

 

フライパンで焼くんですか? それは
やったことはなかったな。俺は思った。
たまにが食べているのを少しもらっ
て食べる程だった。それもたしかに
美味いのだが。

 

そうだ、焼き目をつけて、そこに好み
のスパイスを振って食べると、一気に
大人のスイーツに変身する。バニラア
イスかなんか添えてもいい。部長の表
情は恍惚としてきた。なんだか俺も
の中につばが湧いてきた。

 

色々試したんだが、私の好みは七味唐
辛子だな。これは YouTube でどこかの
シェフが言ってたんだが。甘い焼き芋
に七味という意外性もあるが、なかな
か乙なもんだ。

 

そして、もう一つ、クミンパウダー
凄くいいカレーを作るために買っ
たクミンが焼き芋にこんなに合うとは
思わなかった。部長は続ける。

 

俺の頭の中は、クミンを振った焼き芋
いっぱいになってしまった。

 

で、だ。この取り合せは焼き芋がどん
スパイスと組み合わされてもしっか
りと焼き芋として美味しいから成立
るわけだ。紅はるかしっかりと
土台を作っているから、あいつがクミ
ンパウダーみたいな変化球でも、しっ
かり結果が出るわけで……

 

あ、はい、わかりました。良く考えて
みます。ありがとうございました。失
礼します。まくし立てる部長をさえぎ
ってオンライン面談を終了させた。

 

同僚のことなどどうでもよくなって
た。俺は立ち上って、家を出て焼き芋
を買うために近所のスーパーに向かっ
た。七味クミン以外に他に何を組み
合わすのがいいだろう? そんなこと
を考えながら。

 

※このお話はフィクションですので、
現実の会社や変な同僚や部長や、スー
パーの焼き芋や焼き芋機とは無関係で
す。あ、でもクミンとの組み合せはお
勧めです。

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

お読みいただきありがとうございま
した。こんな話やら、セッションノ
ウハウ
情報などお届けする無料のメ
ルマガ
やっておりますので、よろ
しければ
ご登録ください。その他、
色々な音楽
企画やシニアライフにま
つわる
話題をお届けしております。
こちらからどうぞ。▼▼▼
https://seniorlife.sakuraweb.com/page-48/

 

「できない」は世界を救う?

年ぶりか……俺はつぶやいた。

 

最後に出社してから、確かに1年
が過ぎていた。久しぶりにオフィス
戻った俺は、浦島太郎のような気分だ
った。

 

1年半前、俺は希望していた1年間の
大学院での国内留学の選考に受かり、
あの同僚とのコンビ解消して、学生
生活を送らせてもらったのだ。このご
時世に、会社もよく行かせてくれたも
のだ。

 

1年間なのでハードではあったが、土
日にはジャムセッションにもしょっち
ゅう行けたし、おれはハッピーだった。
そして無事に MBA の資格を手にした
俺は、こうやって会社に戻ってきた
いうわけだった。

 

俺がやっていた仕事どうなったんだ
ろうな。俺は思った。確かあの仕事は
入社2年目若手社員同僚とコンビ
を組むことになったはずだった。

 

あの同僚との仕事をそんな若者に託す
ことになって、俺は少々心が痛んだ
それ以上にあの同僚から解放される
とが嬉しかった

 

あれ? そうか1年経ったんですね。
おかえりなさい。後ろでがした。

 

見ると、留学に行く前一緒に仕事
していた内勤の社員だった。同僚がな
んでもクライアントに言われた無理を
押し付けるので、かなりの苦労をかけ
相手だ。

 

ああ、君か。どうだい、最近例のクラ
イアントの仕事は? 相変わらず無茶
なこと言ってくるんだろうな。俺は尋
ねた。

 

ああ、いや、それがね。あの若手の彼
に担当が替わってすぐに、一つとてつ
もない無茶な依頼が来たんですが、結
局それ、納期に間に合わなくて、穴を
開けちゃったんですよ。

 

え? 本当か? それでどうなった?
俺は驚いて聞き返した。

 

それがね、もちろんうちの社内でも問
になったんですが、あちらさんの方
でも、あんまり無茶な発注をするもん
じゃない、という話になりましてね。
最近では、そんなわけで、結構オーダ
ーがまともになりました。おかげで、
定時に退社できることも多くなりまし
たよ。

 

その社員は、笑って、じゃまた、とい
って立ち去ったえええ〜〜

 

そんなことがあったとは。社内の根回
しとか大変な苦労していた俺の努力は
何だったんだ。俺は、呆然として、そ
ばにあった椅子に崩れ落ちた

 

……

 

と、いうところで目が覚めたか。
ちぇ。世の中は甘くない。ま、今どき
MBA なんてのも流行らないか。

 

また、昼寝か。いい気なもんだな。
の声がした。見ると俺の目の前に立
っていた。

 

お得意からのあの発注の件内勤には
伝えたのか? どうせあいつらは時間
がないとか文句言うんだろうが、ちゃ
んと言うこときかせてくれよ。
日ライブがあるから帰るぞ。じゃな。
そう言って同僚は立ち去った

は、黙って見送っていたが、この案
件、穴を開けた方がいいのではないか
思いはじめていた。それが、みんな
の幸せのためじゃないのか? いや
対そうに違いない。

 

そんなどす黒い思い脳内を駆け巡る
のを、俺は押しとどめることができな
くなりつつあった……

 

このお話はフィクションですので、
現実の国内留学制度、クライアントの
無茶振り、社内のもめごとなどとは無
関係ですよ。たぶん。

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

お読みいただきありがとうございま
した。こんな話やら、セッションノ
ウハウ
情報などお届けする無料のメ
ルマガ
やっておりますので、よろ
しければ
ご登録ください。その他、
色々な音楽
企画やシニアライフにま
つわる
話題をお届けしております。
こちらからどうぞ。▼▼▼
https://seniorlife.sakuraweb.com/page-48/

 

スタープレーヤーの悲劇?

の日、俺は少しばかり浮れ
た気分久しぶりに出社した。

 

なぜ浮れていたかというと、ついにあ
の同僚と別れて仕事をすることになっ
たからだ。

 

その理由が、社長発案で社内の優秀
「スタープレーヤー」が集められて
「ドリームチーム」が作られることに
なり、それにあの同僚が選ばれたとい
うのは、かなり(というかすごく)
にくわなかった。だがしかし、それを
上回る解放感で、俺は浮れていたのだ。

 

その日は、新たなチームの顔合せをし
たい、最初だからリアルでという部長
声掛けで、出社することになった。
俺にはまったく異存はない新たな仕
事仲間が誰になるか、それにも興味が
あった。

 

俺は、会議室のドアを開けた。

 

と、そこには部長が1人で座っていた。

 

おはようございます。俺は言った。

 

お、おう、おはよう。部長は言ったが
なにか歯切の悪い挨拶だった。

 

私の新しい仕事のパートナーはまだ来
てないんですね? 俺は尋ねた。

 

うん……それなんだけどな。実はちょ
っと問題があって。

 

問題? 俺はおうむ返しに聞いた。

 

そう……。つまりさ、ほら、よく色ん
バンドのエース級を寄せ集めて、
しいバンド組むなんてことあるだろ?

 

は? 何を言ってるんだこの人は?
俺は思った。また音楽の話か?

 

だけどさ、そういうのって、なかなか
うまく行かないじゃない? みんな
強すぎて、空中分解したりして。
部長は続けた。

 

俺はとても嫌な予感を感じないではい
られなかった。

 

……でさあ、例のあの社長のプロジェ
クトなんだが……

 

部長は説明を始めた。早い話、社内の
スーパープレーヤーたちが集められた
が、初回の会議から仲違いになって、
お互いこんな奴らと一緒に仕事はでき
ない、ということになったらしい。

 

つまり、社長プロジェクトは、白紙に
戻ったわけだ。

 

俺はさあ、最初から嫌な予感してたん
だよ。本部長にも言ったんだけどなあ。
部長は、俺に目を合わさないで言った。

 

で、まあ、すまんが……

 

……ちょ、ちょっと待ってくださいよ。
俺はいった。じゃあ、次の仕事の俺の
パートナーは……

 

と、そこで会議室のドアが開いた。

 

そこに誰がいるか、俺には分かってい
が、そちらを見る勇気は出てこなか
った。

 

このお話はフィクションですので、
現実の会社、組織のスタープレーヤー
やドリームチームなどとは無関係です
たぶん。

 

て、ことで。


それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

お読みいただきありがとうございま
した。こんな話やら、セッションノ
ウハウ
情報などお届けする無料のメ
ルマガ
やっておりますので、よろ
しければ
ご登録ください。その他、
色々な音楽
企画やシニアライフにま
つわる
話題をお届けしております。
こちらからどうぞ。▼▼▼
https://seniorlife.sakuraweb.com/page-48/

 

ウォーキング・イン・リズム??

て、天気もいいし歩いて
こうか?

 

俺は同僚に言った。

 

ずいぶんと久しぶりにクライアント
訪問する出張に来ている。新幹線の駅
を降りて、クライアントの社屋まで歩
こうと言ったわけだ。駅から歩いても
10分程度の所なのだ。

 

何言ってるんだ、タクシーだろう。同
僚はバカにしたいつもの言いかたで俺
に言った。

 

会社に請求すればすむのに、何が悲し
くて歩く必要があるんだ?

 

でもさ、ここんところ在宅勤務の日が
多いから運動不足だし……俺は説得
しようとしたが、聞くような同僚じゃ
ないのは明確だった。

 

やだね。どうしても歩きたければお前
1人で歩けよ。俺はタクシーで行く。

 

結局、俺は折れてタクシーに乗った。

 

……

 

いやいや、本当に久しぶりだねえ。得
意先の部長エントランスのロビー
われわれ2人を出迎えて言った。また
会えてうれしいよ。

 

私どももまたお会いできてとても嬉し
いです。同僚は俺に向かう時とはうっ
てかわった愛想の良さで言った。早速
お打ち合せをしたいのですが。

 

おお、そうだな。それで、最近私は
ォーキング・ミーティングというのを
実践してるんだが、今日はきみたちと
やってみたいと思って待っていたんだ。

 

ウォーキング・ミーティングですか?
同僚はおうむ返しの返事をしたが、す
でにその顔は曇っていた。

 

そう、まあ文字通り歩きながらミーテ
ィングするってことなんだが、これが
なかなかいいんだよ。会議室じゃ生れ
ないアイデアが湧いたりするんだ。う
ちの会社の裏は広い公園だから、そこ
を一緒に歩いて話をしよう。

 

部長はわれわれの返事を待たずに、
を出てその公園に向かって歩きだし
た。

 

は、すぐさまその後を追った同僚
俺が見た中で一番のブンむくれた顔
をしていたが、しかたなく俺の後から
ついてきた。

 

俺は部長に追い付くと言った。ウォー
キング・ミーティングって面白そうで
すねえ。

 

そう思うか? 部長は言った。アメリ
では、会議の生産性を上げる手法
して、結構採用されているそうだ。君
らも本社に戻ってもやってみるといい。

 

そうなんですかあ。俺はアメリカのこ
とはどうでも良かったが、同僚の仏頂
を見るのが面白くて、笑いをこらえ
ながら部長と話をつづけた。

 

たまにはこんな出張もあっていいな。
そんなことを思っていた。頭の中では
楽しげなマーチのリズムが鳴っていた。

 

このお話はフィクションですので、
現実の会社、出張、ウォーキング・ミ
ーティングとは無関係です。なんじゃ
そりゃ。

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

お読みいただきありがとうございま
した。こんな話やら、セッションノ
ウハウ
情報などお届けする無料のメ
ルマガ
やっておりますので、よろ
しければ
ご登録ください。その他、
色々な音楽
企画やシニアライフにま
つわる
話題をお届けしております。
こちらからどうぞ。▼▼▼
https://seniorlife.sakuraweb.com/page-48/

 

ありがとうっていえなくて?

(このお話はフィクションです)
に呼び出して、すまんな。部
長がモニターの向こうで言った。
急に俺とにオンライン会議を
招集してきたのだ。

 

いえ、オンラインなので、大丈夫です。
は言った。同僚仏頂面をして黙っ
ている。どうせ、ギターの練習でもし
ていて、中断しなきゃならなかったの
だろう。

 

短くすませたいので、端的にいうが、
実は、ちょっと社内の製作部門からク
レームが入った。N社の件だ。

 

N社というのは俺と同僚で担当してい
クライアントだ。

 

クレームですか? 俺は言った。

 

うむ。うちのセクションからの製作に
ついての指示が高圧的だというんだな。
部長は言った。

 

きみたちがクライアントの意向を受け
て指示しているのはわかるが、もう少
穏やかな物言いはできないものかね。
忙しいところすみませんが、とか、
つもありがとうございますとか、そん
言葉を入れるだけでも印象は大分変
わると思うぞ。

 

俺が恐れていたことが起こったようだ。
大体いつも同僚の社内への指示は、
圧的相手への配慮とかそういうもの
一切ないメールでも、やって当然
というような書き方をする。はどち
らかというと裏でフォローに回るほう
だ。

 

部長も、俺の問題ではなく同僚のこと
だというのはわかっているのだろう。
モニター越しなので、どちらの顔を見
て話しているのはわからないが……。

 

ちょっと待ってくださいよ。社内に指
示を送るのになんでこっちがそんな気
を使わなきゃならないんですか。同僚
が言った。

 

そう言うけどな、社内の連中だって
だ。言われ方一つで、指示を受けと
気持は大分変わるもんだ。部長は諭
すように同僚に言った。

 

それに、話がおおごとになりつつある。
向こうの連中はこのままならあっちの
本部長に話を上げると言ってる。うち
の本部長が向こうの本部長に責められ
るというのは社内政治的にもよろしく
ない。

 

そこが本音か、と俺は思った。2人の
本部長は同期で出世を争う仲だ。

 

ともかくだ、アメリカの研究にもある
そうだが、メールに相手の感謝の言葉
を書いて頼みごとをするだけで、その
通りやってもらえる確率は大きくアッ
するそうだ。部長は続けた。

 

別に本気でそう思わなくてもいいから、
ひと言「いつもありがとう」という言
葉をメールに入れてみたらどうだ。き
みたちも音楽やるそうじゃないか。音
楽を一緒にやれる仲間への感謝の気持
を思い出してみたらどうかな?

 

わかりました、気をつけます。俺は言
った。同僚はふて腐れた顔で黙ってい
る。こいつが音楽仲間に何を思ってい
るのか、あまり知りたくない気もした。

 

頼むよ。こういうのは普段から口にし
ていると気軽に使えるようになるもん
だ。ちょっと練習してみようじゃない
か。何を思ったのか、部長は言った。

 

今日は文句を言って申し訳ないが、2
人の働きにはいつも感謝している。
りがとう。部長はそういって頭を下げ
た。

 

こんなぐあいだ。2人もお互いにやっ
てみたまえ

 

……えぇ? と俺は思った。

 

気まずい沈黙が流れた。

 

ここは俺から言うしかないか。しかた
なく俺は同僚に向かっていった。

 

い、いつもありがとう。

 

自分でも顔が引きつっているのがわか
る。

 

同僚ばかばかしくてやってられない
という顔をしたが、それでも、口を開
いて言葉を発しようとした。

 

あ……

 

こいつの口から、「ありがとう」とい
う言葉を聞くのは前代未聞だ。俺はな
んだか知らないが緊張した。

 

あ……

 

部長もモニター越しに固唾をのんでい
る。

 

あ……明日の会議で居眠りするんじゃ
ないぞ。同僚は言った。

 

モニターの向こうで、部長が椅子から
ずり落ちそうになるのをこらえるのが
見えた。

 

社内のクレームは収まりそうもないな、
俺は思った。

 

このお話はフィクションなので、現
実の社内クレーム、上司の出世争い、
い○も○が○りなどとは無関係です。
たぶんね。

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

お読みいただきありがとうございま
した。こんな話やら、セッションノ
ウハウ
情報などお届けする無料のメ
ルマガ
やっておりますので、よろ
しければ
ご登録ください。その他、
色々な音楽
企画やシニアライフにま
つわる
話題をお届けしております。
こちらからどうぞ。▼▼▼
https://seniorlife.sakuraweb.com/page-48/

 

もしセッションホストが講談師だったら(続き)

こちらの続きです)
日のメンバーは、と見れば……。

 

鍵盤ギター、ベース、ドラムが一人
っついて、あとはテナーサックスに、
ペットに、おっとトロンボーンですか。
なかなか錚々たる面々でございますな。

 

それじゃあ、まあ一つ奇をてらわず
オーソドックスというやつで参りまし
ょうか。そういたしますと(パン)

 

まずこの曲出だしが肝心で、ピアノ
イントロがこれはもうおきまりとい
うものがございまして。キーはCです
がこのAのフラットといいますかGの
ャープが入ってくる。印象的な音使
いのイントロでございます(パパン)

 

その後、曲の構成はと申しますと、
メロ8小節2回、そのあとBメロ8
小節Aに戻ってまた8小節という。
いわゆるAABA32小節というよく
ある流れになっておりまして(パパパ
パン)

 

勢ぞろいされた手練の皆さまには、テ
ーマの後のソロも馴れたものでござい
ましょうが、僭越ながらポイントを申
し上げますと、まずはAの3, 4小節目
D7(II7)のところでございます。

 

ここで、何のスケールを弾くのか?
ブンスコードでございますから、常道
ミクソリディアンか? それとも
からリディアン・ドミナントを繰出
すのか?(パン)このへんが常識的な
ではございます。

 

あるいはDのホールトーンスケール
いう秘伝の変化球も考えられるところ
でござますが、さて? お手並み拝見
いや拝聴させていただきましょう。

 

その後Bメロの前半4小節が、Fメジ
ャーのワンコードという、下手すると
ダレてしまいかねない進行になってお
りますが、ここは裏でダイアトニック
コードの進行を脳内で想定してソロを
とる、というような技が求められます
(パンパン)

 

それから、ソロの後、この曲にはセカ
ンド・リフというのがございます。今
日は3管という願ってもない編成でご
ざいますので、これはぜひ入れていた
だきたい。(パン)

 

ホーン隊一斉のセカンドリフドラム
ソロのやり合い、いわゆる4バース
いう形でAメロ。Bメロんところは全
面ドラムソロで、最後またAメロでの
掛合いという形で、ワンコーラス(パ
パン)……ぜひ、お願いいたしますね。

 

そして後テーマの最後エンディング
もまたお決りのフレーズがございます。
Aトレイン・エンディングという名前
さえついているという、ラスボスのよ
うなエンディングでございますが。

 

まあ、落着いてやりさえすれば、そん
なに難しいもんではございませんが、
そこはそれ(パパンパパンパパパン)
最後の最後というところで、ムダな力
が入ってずっこける、という失敗もよ
くおこりますんで(パン)画竜点睛を
欠かないよう、よろしくお願いいたし
ます。

 

ま、そうはいっても、間違えたところ
で今の世の中、腹を切れとか島流し
か、そんなことにはなりませんがね。
ここをぱしっと決めれば「でかした、
あっぱれ。いい出来だ」という声もか
かろうというもので(パン)このA列
車の旅も、大団円でございます。

 

ありがとうございました。

 

……あ、そうじゃなかった演奏これか
でしたね。すいませんね、ディレク
ションで盛り上がっちゃって。えーと、
それでは皆の衆よろしくお願いいた
します。

 

せーの

 

※このお話はフィクションですので、
現実のジャムセッション、講談師とは
無関係です。きっと。

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

 

もしセッションホストが講談師だったら

ー、どうも。沢山のお運び
ありがとうございます。私が本
日のセッションホストを務めさ
せていただきます。

 

え? なんで置いて座って張り扇
ってるんだ? 机ってね、これ釈台
いうんですがご存じありませんか?
(パン)

 

私、本職講釈師あるいは講談師と呼
ばれる講談を寄席なんかでやってる者
なんですが。まだ前座の身分でして、
生活も苦しいんで、師匠の許しを得て
副業といいますか、アルバイトセッ
ションホストをさせていただいており
ます。

 

講談、ご存じでいらっしゃいますか?
歴史上の人物や出来事をこの張り扇で
調子をとりながら語って楽しんでいた
だくという演芸でございます。武勇伝
とかかたきうちの話が多いんですが。

 

学生の頃、落研とジャズ研をかけもち
しておりまして。その関係でこういう
本業・副業をやっておりますんで。落
語を聴きに寄席に通ううちに講談に目
覚めて、講談師をめざすようになりま
した。めざせ次の神田○山というよう
なことで日々精進しております。(パ
ン)

 

で、さて。今日の演目じゃない曲目
ございますが、これが!……あの「A
列車で行こう」という曲でございます。
かのデューク・エリントン楽団のこれ
はもう十八番中の十八番でございまし
て。

 

ジャズにお詳しくない方でも一度は聴
いたことがあるだろうという名曲でご
ざいますが、この「A列車で行こう」、
作曲したのは実は楽団の親方エリン
トン本人ではございません。エリント
ンの盟友ともいうべきビリー・ストレ
イホーンという御仁で。(パン)

 

なんでも、音楽の著作権団体ラジオ
揉め事があって、エリントンが
分の曲をラジオで放送できないという
ピンチに陥った時、ストレイホーンが
ならば俺の書いた曲を使えと言ってエ
リントンに指し出したのがこの曲だと
言われております。これにエリントン
が「すまねえ、一生恩に着るぜ」と言
った……かどうかはわかりませんが。

 

詳しいいきさつは、また別の機会に語
らせていただきますが(パン)そんな
わけで、元和元年一夜にして、じゃな
かった西暦1939年に書かれたこの曲
がエリントン楽団の主題歌として今に
残っているわけでございますが……

 

で、さて、今日はどうやりましょうか?
(続きます)

 

張り扇で釈台を叩く音

 

て、ことで。

 

では、また  ( ̄▽ ̄)

 

2人のポリリズム?

あ、きみがあいつのリズム合わせるのに苦労しているとろがあるのはわかる。

 

部長がいう。

 

例の同僚2人で担当しているクライ
アントについて定例の報告をしていた
ときの話だ。あいつ、というのはその
同僚のことだ。奴はまたイブが近い
とか言って、俺に報告を任せて午前半
を取っている。

 

前にも言いましたけど、苦労してる
ころがある、っていうのはむちゃくち
ゃ控えめな言い方だと思いますね。

 

俺は言った。この部長があの気難しく
て横暴な同僚に甘いのは全然変わらな
い。

 

まあ、そう言うな。私はきみたち2人
リズムのズレが逆に絶妙にいい感じ
生み出していると思うんだ。ポリリズ
ミックな関係というやつだな。

 

部長はまた変なことを言い出した。
リリズミックな関係ですか? 俺はお
うむ返しに尋ねた。

 

そうだよ、きみも音楽やってるから
リリズムって知ってるだろう。ある拍
の上に別の拍子のフレーズをのせて
演奏すると、絶妙な緊張感盛り上が
が生れたりするだろ?

 

部長はまた突然、ミニキーボードを取
り出して内蔵のリズムマシーンで普通
4拍子のロックのリズムを鳴らした。
やれやれ、またか。

 

たとえば、この4拍子の上で、3拍
5拍でまとまっているフレーズをの
せて演奏すると、カッコよくなったり
するじゃないか。ずれることで緊張感
が生れるけど、それが最後辻褄があ
ってバチンと解決するとやたらかっこ
いいじゃん。

 

部長はキーボードでリズムマシンのリ
ズムに3拍フレーズを乗せて弾いてみ
せた。

 

リズムマシンの4拍子ずれていくが、
ある程度のところでフレーズの辻褄
あって両者がはまる一瞬が気持ちいい。
まあ俺もジャムセッションアドリブ
弾いたりしていて経験していることで
はある。

 

で、きみたち2人はこのポリリズム
たいな感じでさ、合わないと思えるも
のが、最後にあわさって絶妙なグルー
ヴを生み出していると思うわけだよ。
その証拠に2人でやってる仕事でクラ
イアントをしくじったことってない
ろ?

 

はあ。と俺は言った。この人の軽いノ
にいつまでついていけるだろう、と
俺は思った。

 

だから、わがチームとしては、2人
どっちが欠けてしまっても組織として
のグルーヴを失ってしまうと思うわけ
さ。だから2人にはこれからもうまく
やっていってもらいたいわけ。

 

俺は、自分同僚2つのパーカッシ
ョンになって違うリズムを生み出しな
がら演奏されているイメージを思い浮
べた。いつも隣同士一生離れずにぼ
こぼこ叩かれている……いやだ! い
くらカッコいいグルーヴとかいわれて
そんな会社人生なんていやだ!

 

次第にが早くなって、心臓高鳴り
を押さえ切れなくなってきた。

 

……ところで肩を揺さぶられて目が覚
めた。

 

どうした。また昼寝か? そんなに
されて、さては午前中の部長への報
告のし方がまずくて怒られたか?

 

目の前には同僚がいた。周りを見渡す
と俺は面談から戻ってデスクで居眠り
していたのだった。それを午後から出
社してきた同僚に見つかったわけだ。

 

あ、そういえばさっき斉藤さんから
があったから来週金曜日に出張しま
すと言っといたぜ。

 

斉藤さんというのはクライアントの担
当者の名前だ。俺はあわてた。

 

だって、来週金曜日夜にジャムセッ
ションがあるから出張できないって言
ったじゃないか。

 

そうだったかな? まあ、あきらめろ
どうせ大したセッションじゃあるまい。

 

同僚は声をだして笑って自分のデスク
に向かっていった。

 

部長おかしいですよ。俺は心の中で叫
んだ。ポリリズムって最後に辻褄合わ
せるのはリズムを崩した方でしょう?
俺は崩されっぱなしですよ、いつも。
俺は頭を抱えて机の上に崩れ落ちた。

 

(このお話はフィクションです。現実
の会社、同僚、上司への報告などとは
関係ありません。たぶん}

 

て、ことで。

 

では、また ( ̄▽ ̄)

 

カタカナ感染症?

の件につきましては、現在
私どものスタッフが鋭意進めて
おりますが、なにせテレワーク
のために状況確認に若干のご
猶予をいただきたく……

 

例の感染症流行し始めてまだ日も浅
い頃。俺同僚は、クライアントとの
TV会中だった。今日も同僚は家から
参加している。俺は、得意からの質問
の答えを持ち合わせていないため、苦
しいい訳をしていた。

 

テレワークか在宅勤務か知りませんけ
ど、今はいつでも連絡取れる時代でし
ょう。スピード感がなさすぎません?

 

クライアントの担当者嫌味っぽく言
った。

 

申し訳ありません。ただ、東京ロッ
クダウンの可能性もあるとか知事が言
ったとか、オーバーシュートの危険が
あるとか色々ありまして。クラスター
を生み出さないようにも注意しないと
いけませんので……

 

俺はしどろもどろになってきた。

 

ロックダウンって何ですか?オーバー
シュート?クラスター?

 

あ、すみません。こいつバカなんで、
すぐカタカナ用語使いたがるんです。
ロックダウンというのは都市を封鎖
るとかそんなことです。オーバーシュ
ート爆発的な感染拡大のことですね。
クラスター感染者の集団みたいなこ
とです。

 

同僚が口をはさんだ。おまえはどっち
の味方なんだと思いながら俺は聞いて
いた。

 

いずれにせよ、そういうことに注意を
払いつつ進めなければならないので、
若干のご猶予をよろしくお願いいたし
ます。

 

同僚はそんなことを言って、クライア
ントをなだめ、話を終わらせた。

 

まったく、もうちょっと考えて言葉を
口にしたらどうだ。難しい専門用語
カタカナ言葉振り回すな。

 

TV会議からクライアントが退出した
のを確認して、同僚は俺に言った。

 

しかたないだろう、色々情報が流れて
くるから処理し切れんよ。

 

俺は投げやりになって言った。

 

まったくおまえのフォローでこっちは
なおさら大変……

 

そこで同僚のスマホが鳴った。

 

はい、おう。どうした。こんどのライ
ブの曲?それがどうした?え?

音楽仲間からのようだ。

 

……いやだからそこはリディアンドミ
ナントはおかしいだろ。ハーモニック
マイナーパーフェクトフィフスビロウ
だろたとえば。え?そうじゃなくてそ
こはリズミックモジュレーションで拍
子を切替えてだな。何だって?いった
い何回説明したらわかるんだ。そこは
アッパーストラクチャートライアド
………

 

人に言うことと自分の行動がこれだけ
違う奴もめずらしい……俺は呆れて同
僚の話す姿を眺めていた。

 

このお話はフィクションですので、
現実のTV会議やクライアントの担当
者やライブの打合せとは無関係です。

 

て、ことで。

 

それでは、また( ̄▽ ̄)

 

お読みいただきありがとうございま
した。こんな話やら、セッションノ
ウハウ
情報などお届けする無料のメ
ルマガ
やっておりますので、よろ
しければ
ご登録ください。その他、
色々な音楽
企画やシニアライフにま
つわる
話題をお届けしております。
こちらからどうぞ。▼▼▼
https://seniorlife.sakuraweb.com/page-48/

 

半音違いのあいつと俺と?

あ、きみがあいつのことで
労してるところがあるのはわかる。

 

部長がいう。半期に一度の会社での
成果レビュー面談の場でのことだ。
いつ、というのは例の同僚のことだ。

 

苦労してるところがある、っていうの
ずいぶん控えめな言い方だと思いま
すね。

 

俺は皮肉交じりに言った。だいたいこ
の部長はあの気難しくて横暴な同僚
甘い、といつも俺は思う。

 

まあ、そう言うな。私はきみたち2人
は半音の関係だといつも思ってるんだ。
近いがゆえにぶつかるが、必要な関係
なんだよ。

 

部長は妙なことを言い出した。半音
関係? なんですそれ? 俺は尋ねた。

 

つまりさ、君も音楽やってるからわか
るだろう。たいていのスケールはとな
り同士が全音で並んでるところと半音
で並んでるところがあるだろ。ほら、
Cのメジャースケールでいうとミとフ
とそそれからシとドのところが半音
だろ?

 

部長は突然、ミニキーボードを取り出
して俺に見せた。そういえばこの人は
社内バンドキーボード担当なんだっ
た。俺は思い出した。

 

でさ、この半音で並んでる音っていう
のは近いから一緒に鳴らすとぶつかる
んだけど、でもそこにスケールとして
の特徴もあるわけなんだよな。ファ
音は扱いに注意がいるけど、ミの音に
向かう落ち着くわけだよたとえば。

 

で、君たち2人はこのミとファみたい
なもんでさ、ぶつかるんだけど、どっ
ちかが欠けるとチームとしての特徴が
出ないという感じ? わかる?

 

はあ。と俺は言った。軽い人だとは思
っていたが、今日はいつにも増して軽
い。

 

だから、わがチームとしては、2人の
どっちが欠けてしまっても組織として
の力が出ないと思うわけさ。だから2
人にはこれからもうまくやっていって
もらいたいわけ。隣り合わせでね。

 

俺は、自分と同僚キーボード上の半
音で隣り合ったキーとして並んだとこ
を想像してみた。いつも隣同士
生離れずぶつかりあいながら、酷使さ
れている……いやだ! そんな風に
つとセットでばかり見られる会社人
なんていやだ!

 

次第に怒りが込み上げてきた。全身に
汗が噴き出るのを感じた。

 

……ところで肩を揺さぶられて目が覚
めた。

 

どうした。食後の昼寝か? そんな
かいて、さてはさっきの面談で部長に
絞られたんだろう?

 

目の前には同僚がいた。周りを見渡す
とそこは社員食堂だった。午後から出
なので同道する同僚と昼食を摂りに
来ていたのだった。

 

そろそろ出ないと新幹線に乗り遅れる
ぞ。同僚は言った。またお前と出張か。
いい加減勘弁してほしいもんだ。

 

勘弁してほしいのはこっちだ。俺は思
いながら立ち上がった。部長の言葉
頭の中で響いている。俺は絶望的な気
分になりながら食堂の出口に向かった。

 

※このお話はフィクションです。現実
の会社、同僚、上司との成果面談など
とは関係ありません。きっと。

 

て、ことで。

 

では、また ( ̄▽ ̄)

 

もしセッションホストがしょぼいユーチューバーだったら

い、どうもこんにちは!

 

今日はですね、ジャムセッションのホ
ストをやります! ジャムセッション
て知ってますか? みんなで曲を決め
て、それを素材にアドリブでソロを演
奏したりするんですよ。

 

そして、セッションのホストは、それ
を色々ディレクションしてまとめ上げ
ていく役目の人のことなんです。今日
は、僕の友達で楽器を弾くプレイヤー
の人たちに集まってもらいました。

 

さて、は何をやろうか? ジャムセ
ッションだから、事前に練習してきて
から、あまり複雑なのは難しいよ
ね。J-POPとかは展開が複雑な曲が多
いからやめとこうか。え? ソウル
か昔のAORがいい? Just the Two

 

いいじゃない、Just the Two of Us、
名曲だよね。展開も複雑じゃないしね。
それに今日はサックスもいるし、あの
リフ弾いてもらえるからいいかも。

 

じゃ、それでいこう。サックスの他は
ギター2人とキーボードベース
ラムと、うん、ちょうどいいかな。
ォーカルは僕がやらしてもらいますね。

 

ほんとはコーラスも欲しいんだけど、
今日はいないので、できたら僕が後で
編集の時に足しますわ。

 

で、カメラなんだけど、今日は2カメ
用意してるんで……えーと、この辺に
1カメ固定して、もう一つこっちのカ
メラを……どうしよーかなー。

 

えーと、悪いけどギターの2人のどっ
ちかカメラに回ってくれないかな?
え? きみやってくれる? ありがと
うありがとう。

 

ね、これ、こうやって持つと手ブレが
しない仕組みになってるからね、これ
演奏中のメンバーを1人ずつ抜いて
ってもらえます? うん。で、ま、い
ちおう僕を中心にお願いしますね。僕
チャンネルに上げるんで。

 

あ、それから動き回る時、固定のカメ
ラに写らないようにしてくださいね。

 

あ、あとさー、演奏の途中1、2度
ストップして、僕とギターとサックス
位置を入れ替わってカット繋ぎ
3人が瞬間移動してるようにしたい
だけどいいかな? やっぱり、ちょっ
映像的なギミックを入れたいわけよ。

 

キーボードとドラムの入れ替わりも考
えたんだけど、さすがに大変そうだし。
あとの時間もあるしね。いい? そう?
ありがとう、助かるわー。最近、再生
数が伸びなくってさー。このままだと
広告入れてもらえなくなりそうで……

 

えーと、コホン、さて……

 

みんな準備大丈夫かな? じゃあ、始
めますよー。せーの、ワン、ツー……

 

あ、ごめん、言いわすれてたけど、
奏終わったところで、僕が感想はコメ
ント欄にって言うんで、みんなで下の
方を指さしてもらっていい? よろし
くね。

 

そういえば、みんなチャンネル登録
てくれてる? してない人は後でしと
いてね。お願いします。目標の数にな
なか届かなくてさ。大変なのよユー
ューバーも。

 

じゃあ、撮りますよ。サックスリフ
の練習止めて本番行くよ? 大丈夫?
いまいち不安? たのむよ、頑張って
ねー。

 

それじゃ、イントロはキーボードから
ね。よろしく!せーのー……

 

※このお話はフィクションで、現実の
ジャムセッションとは無関係だと思い
ます、たぶん。

 

て、ことで。

 

それでは、また( ̄▽ ̄)

 

……ホテルへようこそ

い日だった。ただ妙に乾燥していて湿気がなく、なんだか砂漠のような気候だなと俺は思った。

 

砂漠に行ったこともないのに。

 

俺と同僚ホテルを探していた。クラ
イアントとの打合せでクレームを聞か
されたあと、本社に帰って出直そ
と同僚に言ったのだが、同僚が出張
を延期して支社と解決策を探るべきだ
と言いはったのだった。

 

宿泊していたホテルに延泊の相談をし
たのだが、満室だと断られ、しかたな
別のホテルを探し出したのだ。どう
も市内で何か大きな催事があるようで
ホテル探しは難航した。

 

俺と同僚で手分けをしてネットを検索
したり、電話をかけまくった後、よう
やく同僚が1件のホテルからOKの返
をもらい、俺と同僚はタクシーに乗
ってそのホテルに向かった。

 

乗ったのは妙なタクシーだった。何か
植物を焚いたような、奇妙な香り
した。嗅いでいると、どこかに行って
しまいそうな香りだった。

 

頭が重くてめまいがしそうだと感じ始
めたところで。タクシーはホテルに着
いた。この街には何度も出張で来てい
るが、見慣れない風景のエリアだった。

 

ホテルのフロントの女性入り口まで
出てきて迎えてくれた。古いホテル
中はちょっと暗いですので、と彼女は
言って、そのまま部屋まで案内をして
くれた。遠くで鐘の音がしたような気
がしたが、記憶はあいまいだ。

 

……ホテルへようこそ、と彼女は言っ
たが、ホテルの名前は聞き取れなかっ
た。古いですが部屋は沢山あります
ら、いつでも空きはあるんです。彼女
は聞いてもいないのにそんなことを言
った。

 

腹が空いていたが、疲れてもいたので、
同僚と俺はホテルのレストランで夕食
を取ることにした。同僚がワインを頼
むと給仕長は、当ホテルでは1969年
の創業以来酒類は置いていないのです
と言った。

 

こんな日に、酒も飲まずに寝られるも
んか。同僚は立ち上がり、フロントと
交渉してくるといって歩き出した。俺
は嫌な予感がして、同僚を追ってフロ
ントに向かった。

 

フロントには誰もいなかった。

 

……が、その脇の開け放たれたドアの
向こうに人影が見えた。同僚はそのま
ま中に入った、俺も後を追った。

 

そこには、例のフロントの女性も、給
仕長もいた。それ以外のスタッフもい
るようだった。皆は手にナイフを握り
なにかテーブルの上のものを突き刺そ
うとしていた。

 

俺たちに気がつくと、フロントの女性
は言った。お客様、言い忘れましたが
チェックアウトは24時間いつでもOK
です。ただ、誰も帰った人はいません
けどね。彼女は笑った。

 

俺は同僚を見た。同僚も笑っていた。
俺はドアを出て逃げ出そうとした……

 

……ところで、肩を揺さぶられて目が
覚めた。

 

明日朝から支社で打合せだ。もう部
屋に戻ろう。寝過ごして遅れるなよ。
同僚は立ち上がって俺に言った。

 

ホテルのレストランで食事をするうち
に疲れが出て寝てしまっていたらしい。
70年代ロックのチャンネルに合わせて
いるらしい有線放送のBGMが流れてい
た。

 

イーグルズの「ホテル・カリフォルニ
ア」の最後のツイン・ギターの演奏が
聞こえた。

 

本当に俺たちは本社に帰れるのだろう
か。

 

(例によって、これはフィクションで
すので、現実の出張や街やホテルとは
何の関係もないです、きっと……)

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

“Les” Is More?

「皆さんは、物を『所有する』
ということに執着するほうですか
?」

 

私はそんな質問を投げかけた。

 

最近の若者は物を持たなくなってい
とかいう話をよく聞きます。いわゆ
ミニマリスティックな生活が人気で
すよね。『断捨離』がブームなったの
もここ15年くらいの話です」私は続け
た。会場の中の参加者は私の講義の内
容を熱心に聞いてくれているようだ。

 

「英語の “Less is more.” なんてフ
レーズもよく引用されるようになりま
した」今日の参加者は50代以上が多い
ので横文字はどうかな、と思いつつ私
は話したが、とくに嫌な顔をする人は
いなかった。

 

IT技術の進化がそれを助けている側
面もあります。いまや音楽はCDやレ
コードやその他のメディアよりもダウ
ンロードやストリーミングを通じて聴
かれることの方が多くなりました。
らないものはすぐにメル〇リとかで
ってしまえますし」

 

私は、たまたまライターとして、そん
物への所有欲から解放されたライフ
スタイル紹介しただけだったのだ。

 

ところが、それが人の目に止まり、講
演やらセミナーに呼ばれるようになり、
いまやそんな物欲から解放されたライ
フスタイルのエヴァンジェリストとし
て世の中に認知されるようになってし
まった。

 

もともとは音楽系中心のライターだっ
たのだが、人生どう転ぶかわからない
ものだ。まあそれでローンの返済に苦
労しなくて済んでいるので、文句をい
う筋合いではないのだが。

 

若者は車を買わないって言われて久
しいですね。特に都会では。だって
スマホやタブレットで読むことが増え
ているし。物理的に身の回りにおいて
おかねばならない最低限の物量が減っ
ているということは間違いないでしょ
う」

 

は違いました。私はもうすぐ還暦
なんですが、われわれの若いころは、
『所有』したい『物』があふれていま
したよね。みんなが所有したがる物を
表現するのに『三種の神器』なんて言
葉もありました。そういう物欲・所有
欲の刺激によって経済的に栄えていっ
たという側面もありましたしね、当時
は」

 

「そんなわれわれさらに上のシニア
世代には、先ほどからご紹介している
ような、物の所有から解放された生活
無縁なのでしょうか? そんなこと
はありません、今や『終活』の一環と
て、物を処分して身軽になろうとい
人は多いのです」

 

「断捨離といっても、捨てることにあ
まりにもとらわれ固執するのは問題で
す。ですが、今日お越しの皆さんも、
自分の周りにあるものが、本当に必要
いまいちどよく考え直してみてはい
かがでしょう?」

 

……

 

講演を終え、質疑応答も済ませた私は
主催者からの打ち上げの誘い断り、
帰りのハイヤーの申し出も断り、地下
鉄に乗ってある場所に向かった。そこ
行きつけの楽器店のギター売り場
った。幸い閉店まではまだ時間がある。

 

馴染みの店員が私を見つけて近寄って
きた。

 

「こんばんは。またいらっしゃいまし
たね。今週これで3回目じゃないです
か」

 

君が非番の日をいれると4回目だと思
ったが口には出さず、「例のあれ、ま
だ売れずにあるかね?」と私は聞いた。

 

「ありますよ。1954年のレスポール。
最高のコンディションでしょ? 店長
とも話したんですが、今日決めていた
だければ、いくらか勉強させてもらい
ますよ」そう言って店員は私の耳元で
ある数字をささやいた。私の心臓は高
鳴った。

 

「い、いや、しかしなあ。こんなにギ
ターばかりあってどうするのって、昨
日も妻にいわれたばかりだしなあ……」
私は言った。たしかに私の部屋はギタ
ーで足の踏み場もないのだ。

 

「じゃあ、いらないギターの買取もさ
せていただきますよ。そっちも他なら
ない先生ですから、いい値段で考えま
から」私の心臓はさらに高鳴る。

 

しかし、と私は思う。私の部屋に「い
らない」ギターなどあるだろうか? 
や、そんなものはない。どれもそれ
ぞれ思い入れのあるギターたちだ。手
放すなんてことはできない。

 

次第に私は家に帰って妻に言う言い訳
を必死に考え始めていた。ライター歴
35年。それくらいの言い訳を考えるの
は簡単だろう。私はそう自分に言い聞
かせて頭を絞り続けた……

 

(今回のお話はフィクションであり実
在する断捨離やこんまりや、ライター
やレスポールやギター売り場とは何
関係もありません。おそらく……)

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

しあわせの青いギター??

むかし、チルチルという男
の子と
チルという女の子の兄
妹がいました。(まんまかい)

 

2人の家は貧しく、ギターが得意なチ
ルチルと歌の得意なミチルは、家計の
助けになるようにと、ときどき路上ゲ
リラライブをやっていました。しかし
なかなか生活は楽にはなりませんでし
た。

 

ある日、2人が路上ライブに出かけよ
うとしているところに、隣の家のおば
あさんがやってきて言いました。

 

「うちの病気の孫娘のために、青いギ
ターを探してきておくれ。なんでも、
『すとらときゃすたー』という名前の
古いギターで、それがあるとあの子の
病気が直るんだよ」

 

そこで、チルチルとミチルはいつもの
シ○ヤの駅前ではなくて、オチャノ○
に出かけていきました。しかしイ○
バシの国に行っても、クロ○ワの国に
行っても、ギターの惑星に行っても、
おばあさんの言うような青いギターは
見つかりません。

 

やっと青いギターを見つけた、と思っ
て手に取ってみると、すぐに色が変わ
ってしまったりテレキャスターのコ
ピーだったりするのでした…

 

2人は近くのア○ハバライ○ベの国
にも歩いて行ってみましたが、見つか
りません。電車賃を払ってギ○ザ
○ハにも行きましたがやはりダメでし
た。(作者の日常の行動範囲がわかり
ますね)

 

疲れ果てた2人は、家に帰るとそのま
寝てしまいました

 

夢の中でチルチルは、タカナカの「ブ
ルー○グーン」を弾いていました……

 

そこで、チルチルはがばっと起き上が
りました。

 

「そうだ!」

 

そう叫ぶとチルチルは納屋から以前部
屋の模様替えに使った青いペンキを持
ってきました。そしてハード○フのジ
ャンクコーナーで買ったのを手直して
使っていた自分のサンバースト色のス
ト○トキャ○ターの安物コピー青く
塗ってしまいました。

 

になると、チルチルとミチルはその
ギターを持って隣のおばあさんの家
行きました。おばあさんは喜んで、そ
のギターに色々細工をして使い古した
ようにみせかけて、ネットでオークシ
ョンに出しました。その説明文には

 

1964年製、レオ・フェンダー時代の
レイク・プラシッド・ブルー・ストラ
トキャスター!

 

……とありました。ギターにはまたた
まにン百万円の値がつき、おばあさ
一家は引っ越していきました。

 

「……」

 

ギターがなくなってしまったチルチル
はしかたなくミチルのバックコーラス
をして過ごしましたとさ。おしまい

 

教訓:ビンテージのニセモノには注意
しましょうね

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

スキマをめぐるエトセトラ

てと、午後のスケジュールだが……。と、はスマホをとり出して言った。

 

今日は久しぶりの出張で、午前中の打
合せを終えて同僚と昼食をすませたば
かりだ。例によって、出張となるとそ
の土地の食べ物にこだわる同僚のおか
げで、1週間前から予約をいれさせら
れた店のテーブルで、俺はスマホのカ
レンダーアプリを眺めた。

 

13時15分A社技術担当部長とア
ポを取ってある。13時30分にその部
長の上司の役員にあいさつして、その
あと14時20分まで打ち合わせ。それ
が終わったらB社に移動して、14時
45分からそこの研究所の見学所長
以下との打ち合わせ15時30分にそ
こを出て15時50分にうちの支社に寄
って、16時ちょうどから今日のまと
めと今後の方針について支社長次長
ミーティング。その後、A社に戻っ
てそのまま夜の懇親会へ……

 

おいおいおいおい、ちょっと待て。同
僚が口をはさんだ。

 

なんで、そうやってぎっちり予定を詰
めこむんだ。息つくヒマもないじゃな
いか。

 

出張なんだから時間は有効活用しない
といけないんだ。ガマンしろよ。俺は
言った。

 

いくら有効活用でも、少しはスキマ
ないとやってられん。打ち合わせの中
身を振り返ったり、その場で対応しな
きゃいけないときに連絡とったりする
余裕がないだろう。同僚は引かない。

 

お前の好きなジャムセッションだって、
みんながみんなスキマなく音を詰め込
んで演奏ばかりしていたら、息が詰ま
だろう。適当にスキマをあけて、
手や自分の音を聞いて、とかお前も
ストするときは言ってるんじゃないの
か? 同僚はまくしたてた。

 

う……そ、そりゃ確かにそうだが。俺
言葉に詰まった。

 

ギター・デュオをやってるとな、スキ
マの大切さが身にしみるんだ。零点何
秒というスキマで相手の音を聞き、そ
れにまた音で返す。そのやりとりを楽
しまずに、何を楽しむというんだ……

 

しまった、こいつをギター・デュオ自
慢モードに引き込んでしまった、これ
長くなるぞ。打ち合わせに遅れてし
まう。おれは舌打ちした……

 

……ところで、ひじ鉄を脇腹に食らっ
目が覚めた。

 

御社の状況はよくわかりました。これ
から早速支社に行って担当と打ち合わ
をして、早急に対応させるようにしま
すので。同僚が、俺の足を踏みつけな
がら、A社の部長に話をしていた。
まったく、アポイントを入れるだけ入
れておいて、自分はミーティングの最
中に居眠りとはいい気なもんだな。A
社を出て、移動のためタクシーに乗り
こみながら同僚は俺にいやみを言った。

 

昼食をいい気になって、食いすぎた
いかもしれない。血糖値を調べた方が
いいのかもしれないな。俺は、思った。

 

ずっとミーティングや打ち合わせで、
疲れが出たせいもあるかもしれない。
やはりスキマは大切のようだ……。

 

例によって、今回のお話はフィクシ
ョンです。現実の出張やミーティング
やジャムセッションやギター・デュオ
などとは無関係です。きっと。

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

 

宇宙の片隅からの「あのフレーズ」?

の研究者がメッセージ
送ってき
たのは、一日の仕事が
終わりに近づい
た頃だった。

 

ちょっと面白いことが起きてるんだが、
私の部屋に来ないか?

 

同僚はわれわれのいる太陽系の外にあ
る惑星の研究をしている。そんな惑星
の存在は古くから予測されていたが、
実際にその存在が確認されたのは、わ
りと最近の話だ。

 

そして、メッセージを送ってきた同僚
は最近、ある一つの惑星を集中的に研
究していると言っていた。サイズ的に
われわれの棲むこの星とほぼ同程度の
大きさで、何らかの高度に知的な生物
がいる可能性があるのだそうだ。

 

どうした。面白いことって何だい?

 

俺は彼の部屋に入ると尋ねた。

 

私が太陽系外惑星の一つを最近集中的
に調べてることは知ってるだろう?

 

もちろん。と俺は答えた。

 

実はその惑星で、こんな音声信号が何
度も繰り返して発せられているのが観
測されたんだ。

 

同僚は自分の端末を操作して、ある音
声データを再生した。とても短い音型
繰り返されている。何度も何度も。

 

これは……何かの音楽の断片のように
聞こえるが? 俺は言った。

 

そう、私にもそう聞こえる。……それ
からこれも見てくれ。

 

同僚はそう言うと、今度は端末のディ
スプレイ上に、一つの画像を表示した。
平行に引かれた5本の直線の上に楕円
のドットがならび、そのドットをい
くつかのが結んでいる。

 

同じ例の惑星の方から、この音声デー
タとともに見つかった画像だ。なんら
かの法則に則って、この音声データを
記号化したものではないかと思うのだ
が。きみにちょっとこの画像データの
解析というか解読をやってもらえない
だろうか?

 

ふむ。この画像が音声データの記号化
だとしたら、そんなに難しくないだろ
う。俺は言った。

 

思うんだが、これはこの惑星に棲む生
物からの惑星外へのコンタクトの試み
かもしれない。ぜひ頼むよ。同僚は強
い口調で言った。

 

太陽系外の生物からのコンタクト。も
しそれが本当なら、重大な発見だ。今
日も残業か……ま、しかたない。俺は
立ち上がった……

 

……ところで隣の同僚に起こされた。

 

おいおい、デスクでYouTubeを見なが
昼寝とはいいご身分だな。部長に気
付かれないうちに仕事に戻れよ。同僚
は言った。

 

その仕事を進めようにも、別の部署か
らのデータが届かないんで、仕方なく
ヒマを潰してたんだよ。俺は言い訳し
た。

 

それにしても、このアダム・ニーリー
とかいうベーシストなんだが……俺は
続けた。

 

ああ、知ってる、ユーチューバーとし
て結構有名な男だよな。ジャズ好き
同僚は言った。

 

そいつが、自分のチャンネルで、ジョ
ークにもなるほど有名な例のジャズの
リック(注:お決まりのフレーズ)を
5時間ぶっ続けに、繰り返し繰り返し
弾いてライブ配信したんだよ。暇にあ
かせてそれ見てたんだが、こりゃ確実
に寝るぜ……▼▼▼

 

同僚は、こんなバカな奴の相手はした
くないとでもいうように、肩をすくめ
ると、無言で自分の仕事に戻った。

 

……俺の仕事のデータはまだ来ない。
今日も残業か……

 

(今日のお話はフィクションで、実在
する太陽系外惑星とは何の関係もあり
ません。……たぶん)

 

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

 

お読みいただきありがとうございま
した。こんな話やら、セッションノ
ウハウ
情報などお届けする無料のメ
ルマガ
やっておりますので、よろ
しければ
ご登録ください。その他、
色々な音楽
企画やシニアライフにま
つわる
話題をお届けしております。
こちらからどうぞ。▼▼▼
https://seniorlife.sakuraweb.com/page-48/

 

 
 
 

もし、「ブラック企業」で社内バンドを組むことになったら??

て、わが部のバンド、ブラ
ックワー
クスの練習始めるぞ。
みんないるか? 
課長、係長、
主任……と。1人足りないな。
誰 だ?

 

青井が来てません? 何やってるんだ
あのグズは? 下請けの社長との電話
が長引いてました? 新入社員じゃあ
るまいし、電話を切り上げるくらいで
きんのか? ……お、来たな。遅いぞ!
もう5分ムダにしてる。スタジオ代お
前の給から天引きするぞ。

 

明日納品のはずの印刷物の校正が送ら
れてませんでした? 校正の担当者は
誰だ? え? オレ? まじ?

 

……えーと、おまえ練習が終わったら
替わりにやっとけ。会社帰ってやるん
じゃないぞ。お前の家から電話とメー
でやるんだ。わかってるだろうな。

 

さてと、来週の社内部署対抗バンド・
バトルは、社長の発案で2年前からや
っている社内イベントだ。うちの部は
これまで成績が悪い。毎回メンバーが
ほとんど入れ替わるせいもあって、
リとブービー1回ずつだ。

 

このままでは、俺の出世があぶない。
こないだなんか、幹部ミーティング
社長に、練習の時間がないなら○○支
社はヒマそうだぞ、なんて言われてし
まった。あんなに悪い汗かいたのは久
しぶりだ。

 

ここは一発、社長の大好きな、チャッ
ク・ベリー『ジョニー・B・グッド』
を完璧に演奏して、俺……じゃなかっ
たわが部に対する認識を改めていただ
かなければいかん。おい、主任、みん
なに譜面は配ったか?そうか、よし。

 

みんな、俺の作った譜面通りに、間違
いなく演奏するんだぞ。勝手なフィル
インとか、アドリブとかやる奴は罰金
とるぞ。俺がヴォーカルで、青井がギ
ター、主任がドラム、係長がベース、
課長がサックスだ。

 

じゃあ、一度合わせてみるぞ、せーの

 

……おい、ギターの青井! 何やって
る、ぜんぜん俺の譜面通りじゃないだ
ろ! それ。この曲はギターのイント
ロがキなんだぞ。

 

何、譜面読めません? TAB譜でしか
演奏したことがない? バカ野郎!
そんなもん根性だ、根性。譜面よめな
きゃ耳コピしろ。ディスクに焼いて音
源も渡しただろう。え? 家にCDプ
レイヤーありません?

 

ちっ。

 

じゃあ、今日のところは俺が弾くから
青井はそこで見て明日までに憶えろ!
昼休みに会議室でテストするぞ。出来
なかったら査定に影響すると思え。

 

じゃあ、やるぞ、せーの

 

おい、課長、なんでそこのサックス・
ソロでつっかえる? まったく、なん
でだ、言ってみろ!

 

私の役不足です? ばかか、それをい
うならお前の「力不足」だろう。明日
の朝一に反省文A4十枚にまとめて出
せ。いいな。

 

じゃあ、も一度やるぞ。何? もう
ジオの時間が終わりです? 延長し
ろ、延長。ダメです? 次がつまって
ます?

 

しょうがない、会社戻って会議室でや
るか……。今日はノー残業デーで、も
う会社閉まってます? くそー。

 

じゃあ、会社の裏のカラオケ屋でやる
か。この時間なら、多分まだ部屋は空
いてるだろ。10分後にみんなカラオケ
屋に集合!

 

(このお話はフィクションであり、実
在する企業、人物とは関係ありません
……たぶんね)

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

続・パワーコード禁止法

前回の続きです。今回もフィクショ
ンですよ)
「はい?」俺は、ちょっとび
くびくしてインターフォンに応え
た。誰だ?

 

「私です」弁護士の声がした。

 

俺は少しほっとして、解錠のボタンを
押した。とはいえ、アポイントメント
は明日のはずだ。何かあったのだろう
か?

 

「大丈夫でしたか?」俺がドアを開け
ると、弁護士は回りを見渡しながら入
ってきた。

 

「どうしたんです?」

 

ニュース見ていないんですか? 何
か起こるとしても、私がいた方がいい
でしょう?」

 

「何もないですよ。私はパワーコード
なんて弾いてないです。大体、ここの
ところジャズとかフュージョンとか
っち系のしか弾いてないです。パワー
コードを弾くような音楽じゃない」

 

「そうですか……。ならいいんですが。
でも警察が動いているのは間違いなさ
そうですよ」納得しているようには見
えなかった。

 

「それにしても、この禁止法だの規制
法だのでのロックいじめの連続は異常
ですよ」俺は話を変えた。

 

「なんでも次はAとEのキーでの演奏
規制したいようですが、さすがにイ長
調やホ長調の曲はクラシックにもある
から、といわれてペンディングになっ
てるらしいですね」

 

「茶番だ……」

 

そんな話をしていると、またインター
フォンが鳴った。

 

「まいどー○○署です」聞きなじみの
ある刑事の声がした。出前じゃあるま
いし。軽い奴だ。

 

「いやー、青井さん、やっちゃいまし
たねー」刑事は入ってくるなり切り出
した。「署までご同道願いましょうか」

 

「何言ってるんですか。私はここのと
ころ……」

 

「ジャズやフュージョンしか弾いてい
ない、でしょ? 国家権力をなめちゃ
けませんなあ

 

「え?」

 

「例えば、この『枯葉』ですが」と言
って刑事はICレコーダをとり出した。
この前やったセッションの音がした。

 

「ここ。あなたは、ソリストが盛り上
がる陰にかくれて、こっそりとパワー
コードでバッキングしてますね」

 

脇の下に汗が噴き出してきた。

 

「それから、こちらの『モーニン』
同様です。それからこのFeels So
Goodではベースンペー、ンペー、
ンペー、ンペー、ぺぺぺというのに悪
乗りしてパワーコードかぶせてますね」

 

「そ、それは……」

 

「青井さん、しゃべったらダメです!
やはり私がいてよかった」刑事が来た
と知ってキッチンに隠れていた弁護士
が出てきて言った。

 

俺は、椅子に腰を下ろした。弁護士の
存在に気がついた刑事が急に不機嫌そ
うになって言う。

 

「まあいい、逮捕状が出ています。署
まで来ていただけますね?」

 

<(゚ロ゚;)>ノォオオオオオ!!

 

(繰り返しますが、このお話はフィク
ションです。登場する人物は現実とは
無関係です 笑)

 

では、また  ( ̄▽ ̄)

お読みいただきありがとうございま
した。こんな話やら、セッションノ
ウハウ
情報などお届けする無料のメ
ルマガ
やっておりますので、よろ
しければ
ご登録ください。その他、
色々な音楽
企画やシニアライフにま
つわる
話題をお届けしております。
こちらからどうぞ。▼▼▼
https://seniorlife.sakuraweb.com/page-48/