さて、わが部のバンド、ブラ
ックワークスの練習始めるぞ。
みんないるか? 課長、係長、
ックワークスの練習始めるぞ。
みんないるか? 課長、係長、
主任……と。1人足りないな。
誰 だ?
青井が来てません? 何やってるんだ
あのグズは? 下請けの社長との電話
が長引いてました? 新入社員じゃあ
るまいし、電話を切り上げるくらいで
きんのか? ……お、来たな。遅いぞ!
もう5分ムダにしてる。スタジオ代お
前の給料から天引きするぞ。
明日納品のはずの印刷物の校正が送ら
れてませんでした? 校正の担当者は
誰だ? え? オレ? まじ?
……えーと、おまえ練習が終わったら
替わりにやっとけ。会社帰ってやるん
じゃないぞ。お前の家から電話とメー
ルでやるんだ。わかってるだろうな。
さてと、来週の社内部署対抗バンド・
バトルは、社長の発案で2年前からや
っている社内イベントだ。うちの部は
これまで成績が悪い。毎回メンバーが
ほとんど入れ替わるせいもあって、ビ
リとブービー1回ずつだ。
このままでは、俺の出世があぶない。
こないだなんか、幹部ミーティングで
社長に、練習の時間がないなら○○支
社はヒマそうだぞ、なんて言われてし
まった。あんなに悪い汗かいたのは久
しぶりだ。
ここは一発、社長の大好きな、チャッ
ク・ベリーの『ジョニー・B・グッド』
を完璧に演奏して、俺……じゃなかっ
たわが部に対する認識を改めていただ
かなければいかん。おい、主任、みん
なに譜面は配ったか?そうか、よし。
みんな、俺の作った譜面通りに、間違
いなく演奏するんだぞ。勝手なフィル
インとか、アドリブとかやる奴は罰金
とるぞ。俺がヴォーカルで、青井がギ
ター、主任がドラム、係長がベース、
課長がサックスだ。
じゃあ、一度合わせてみるぞ、せーの
……おい、ギターの青井! 何やって
る、ぜんぜん俺の譜面通りじゃないだ
ろ! それ。この曲はギターのイント
ロがキモなんだぞ。
何、譜面読めません? TAB譜でしか
演奏したことがない? バカ野郎!
そんなもん根性だ、根性。譜面よめな
きゃ耳コピしろ。ディスクに焼いて音
源も渡しただろう。え? 家にCDプ
レイヤーありません?
ちっ。
じゃあ、今日のところは俺が弾くから
青井はそこで見て明日までに憶えろ!
昼休みに会議室でテストするぞ。出来
なかったら査定に影響すると思え。
じゃあ、やるぞ、せーの
おい、課長、なんでそこのサックス・
ソロでつっかえる? まったく、なん
でだ、言ってみろ!
私の役不足です? ばかか、それをい
うならお前の「力不足」だろう。明日
の朝一に反省文A4十枚にまとめて出
せ。いいな。
じゃあ、も一度やるぞ。何? もうス
タジオの時間が終わりです? 延長し
ろ、延長。ダメです? 次がつまって
ます?
しょうがない、会社戻って会議室でや
るか……。今日はノー残業デーで、も
う会社閉まってます? くそー。
じゃあ、会社の裏のカラオケ屋でやる
か。この時間なら、多分まだ部屋は空
いてるだろ。10分後にみんなカラオケ
屋に集合!
か。この時間なら、多分まだ部屋は空
いてるだろ。10分後にみんなカラオケ
屋に集合!
(このお話はフィクションであり、実
在する企業、人物とは関係ありません
……たぶんね)
て、ことで。
それでは、また。( ̄▽ ̄)