むかしむかし、あるところに
貧乏な古道具屋がおりました。
ある日、古道具屋は一匹のタヌキがワ
ナにかかっているのをみつけ、かわい
そうになって助けてやりました。
翌朝、タヌキは古道具屋のところにや
ってきて、こう言いました。
「昨日はありがとうございました。お
礼に、私が最近人気急上昇中のジャパ
ン・ビンテージのギターに化けますか
ら、誰かに高値で売ってください」
そういうと、タヌキはくるりと宙返り
をして、最近注目のトー○イのレスポ
ール・タイプのギターに化けました。
ほぼ未使用状態で、木目も見事なもの
でした。
すると、さっそく近所のお寺の和尚さ
んが通りかかりました。ギターのコレ
クターとして寺に100本以上もギター
を持っている和尚さんは、
「これは見事な○ーカイだ。ぜひ譲っ
てほしい」
と言って即金で大金をはたいてタヌキ
の化けたギターを買っていきました。
お寺にギターを持ち帰った和尚さんは
小坊主にギターをきれいにクリーニン
グするようにいいました。小坊主は、
クロスにオレンジオイルをつけて指板
を磨きはじめましたが、それがくすぐ
ったかったので、タヌキはおもわず
「お、おい、やめてくれ。きゃはは」
と声を出してしまいました。
ビックリした小坊主は、あわてて和尚
さんに報告しましたが。和尚さんは信
じてくれません。
「なにをバカなことを言っているのだ。
それより、ギターの弦を私の好きなエ
リクサーの NANOWEB に張替えてお
くれ」
そこで小坊主は、ギターの弦を張替え
ようと、古い弦を外すのにペンチで切
ってしまおうとしましたが、タヌキは
化ける時にヒゲを使って弦に見せかけ
ていたので、
「あたたたた! 痛いじゃないか!」
と言って山へ逃げ帰っていきました。
その晩、タヌキはまた古道具屋にあら
われて言いました。
「お寺は乱暴でいけません。私と一緒
に街へ行きましょう」
タヌキは古道具屋と夜の飲み屋街に行
って、ギターに化け、2人(?)で流
しをして地道に稼ぐことにしました。
このコンビは、ギター1本なのにバン
ドのような音がすると話題になり、客
が歌えば3声くらいでコーラスをつけ
たりするので、次第に夜の街の人気者
になりました。タヌキに化かされてい
たんですけどね。
調子にのった2人は、見た目1人なの
に「茶釜ブラザーズ」と名乗り、夜な
夜な流しで稼いで一財産作りました。
生活も派手になっていきましたが、酒
の飲みすぎとオーバーワークがたたっ
てタヌキは病気になり、古道具屋の看
病のかいもなく、死んでしまいました。
あっけないですね。
古道具屋は和尚さんと相談して、丁重
にタヌキを葬ってやりました。今でも
お寺にはレスポールの形をしたタヌキ
の墓があるそうです。おしまい。
教訓:恩返しの搾取はやめましょう
て、ことで。
それでは、また。( ̄▽ ̄)