昔々、おじいさんが山でトラン
ペットの、おばあさんが川でサッ
クスの練習をブルージャイアント
よろしくしていると、川上から大
きな桃がどんぶらこっこ、どんぶ
らこっこというシャッフル系のノ
リで流れてきました。
「ちょっ、クールじゃん」とおばあさ
んがその桃を引き上げ、家に持ち帰っ
て2人で割ってみると、中からギブソ
ンのフライングVを抱えた長髪で腕に
タトゥーをした男の子が生まれてきま
した。
「桃からうまれたのでピーチボーイと
名付けましょう」という安易なネーミ
ングに反発しつつも、男の子はすくす
くそだち、立派なロックギター小僧に
成長しました。
毎日毎日ギターでリフやらランフレー
ズやらを大音量で弾くので近所の人や
らクマやらイノシシやらは迷惑そうに
していましたが、おかまいなしに弾い
ていると、上達は著しく、まもなく村
の若い衆ではかなう相手がいなくなり
ました。
ある日ピーチボーイはおじいさんとお
ばあさんに言いました。
「おじいさん、おばあさん。僕は鬼ケ
島にいってギター合戦して鬼退治をし
てきます」といいました。「鬼ケ島」
というのは隣の町にあるジャムセッシ
ョンを夜な夜なやっているライブハウ
スの名前でした。
おばあさんにきびだんご型のギターピ
ックをもらい、おじいさんから改造し
た強力ディストーションエフェクター
をもらったピーチボーイは愛機のフラ
イングVを手に町へと出かけて行きま
した。
町に向かっていると犬がやってきて、
「ピーチボーイさん、お腰につけたギ
ターピックひとつ私にくださいな」と
いいました。
いいました。
「んー、じゃ、お前サイドギターね」
犬をサイドギターにしたピーチボーイ
は次に猿に出会いました
「ピーチボーイさん、お腰につけたギ
ターピックひとつ私にくださいな」
「んー、やってもいいけど、ギターば
かりいても困るからおまえベースな」
猿をベースとして加入させたピーチボ
ーイは次に雉に出会いました。
「ピーチボーイさん、お腰につけたギ
ターピックひとつ私にくださいな」
「もうあとはドラマーの空きしかない
けど、それでもよければ」
犬と猿と雉が加わってピーチボーイズ
と名乗ることにした一行が、目的地の
「鬼ケ島」に着くと、そこでは鬼達が
大音量ロックジャムセッションの真っ
最中。ピーチボーイは鬼達に言いまし
た。
「ロックンロールオールナイトいきま
ーす!ワンツースリーフォー!」いき
なりフルテンのボリュームで弾き始め
ました。
犬のパワーコードは鬼達のパンツを引
き裂きました。
猿の重低音ベースは鬼達の鼓膜をぶち
抜きました。
雉のドラミングは鬼達の角を破壊しま
した。
そんな阿鼻叫喚の中、ピーチボーイは
ありったけのテクニックと高速フレー
ズを繰り出してギターを弾きまくりま
した。
「ひえええ、降参です降参です。勘弁
してください」
ピーチボーイズは鬼達から金銀財宝を
取り上げようとしました。
が、
「すみません楽器代とハコ代とノルマ
で消えてしまいました」といわれてし
まい、あげくのはてにライブハウスの
マスターからチャージを巻き上げられ
一文無しで帰りましたとさ。
おしまい。
では、また。( ̄▽ ̄)