セッションはビリヤニである?

の日は、一人で昼食を食べようとそレストランに行ったのだが、最近人気なのか、店には行列が出来ていた。

 

やれやれ、俺は思った。別の店にしよ
うか? 迷ったが、その日はその店の
物料理を食べてみたかったので、行
列に加わることにした。

 

その店は、インド料理の店で、名物料
理というのはビリヤニというインド風
の炊き込みご飯のようなものなのだが、
これが美味いのだ。何度か他の店で食
べて好きになったのだが、最近この店
のビリヤニの評判を聞いて来てみたの
だった。

 

なんだお前か。突然声をかけられて俺
は目を上げた。

 

俺の前で列に並んでいたのは、例の同
だったのだ。お、おう。俺は驚いて
返事をした。

 

俺と同僚は、ほとんど一緒に昼食に出
かけたりしない出張中を除いては、
だが。出張で一緒にいる時が多いので、
せめて出張中でないときは、極力別行
をとるようにしているのだ。
だが、偶然というのはあるものだ。
まずい空気が流れかけた。

 

その時、列が動いて俺たちが列の先頭
になった。店のインド人(だと思う)
店員が、おふたりさん? と聞いて
きた。あ、いや……俺と同僚が答える
暇もなく店員は俺たちを先導して2人
けのテーブルに案内した。

 

俺たちはしかたなくそのまま席につい
た。俺は予定通りチキンビリヤニを注
文し、同僚はバターチキンカレーとラ
イスを注文した。いつも出張先では一
緒に食事をすることの多い同僚との席
なぜか気まずい。

 

俺は、最初に出てきたサラダを黙々と
食べて会話にならないようにした。同
僚も同じようにサラダをつついている。
妙な話だが。

 

さいわい料理はほどなくやってきた。
なんだそれ? と同僚は俺のビリヤニ
を見て言った。

 

ビリヤニっていうんだ。まあ混ぜご飯
みたいなもんだな。お米はインドの
スマティっていうお米で、知り合いの
カレーフリークのベーシストによると
お米の中でもGI値が低くて健康的なん
だそうだ。俺は説明した。

 

ふーん。健康的かなんかしらんが、俺
はそんなごたごたした食い物はごめん
だね。ジャムセッションとかやってる
奴の好きそうな食いもんだな。同僚は
例によってジャムセッションをディス
り始めた。

 

その同僚は何を食べているかとみると
チキンカレーとライスのみだった。し
かも、ライスにカレーをかけて食べる
わけでもなく、カレーはカレーで口に
運び、ライスはまた別に口に入れてい
る。

 

変な奴だ。俺は何か言おうと思ったが
どうせまた、ギターのデュオがそれぞ
独立しながらお互いを引き立てあって
いて、とかどうとか言われそうなので、
黙っていた。

 

どう、料理おいしい? 誰かが声をか
けた。いつもいる店員のインド人のお
さんだった。時々、テーブルにきて
話しかけたりするのだ。

 

おいしいよ。俺は答えた。同僚は無視
して自分のカレーを口に運んでいた。

 

お客さん、うちのカレーは別々じゃな
くてよく混ぜて食べたほうがおいしい
よ。店員のおじさんは、同僚を見て言
った。ほら、こうして……

 

そういうとおじさんは、同僚のカレー
をライスの上にかけて、混ぜてしまっ
。さらに本来俺のビリヤニの添え物
のはずのライタ(ヨーグルトサラダ)
その上にぶちまけた。

 

おいしいよ。食べてごらん。おじさん
はそういうと呆然とする同僚を残して
去っていった。俺は笑いをこらえるの
必死だった。

 

気を取り直した同僚は、憮然としなが
らも皿の上で混ぜ合わされたカレーを
食べ始めた。そのまま止めずに食べ続
けたところを見ると、別に味に文句は
ないらしい。

 

俺がその店の常連になったのは言うま
でもない。

 

このお話はフィクションですので、
実在のインド料理店やランチタイムや
ビリヤニとは関係ないと思います。

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください