ひどく寒い日でした。雪も降
っておりすっかり暗くなり、も
う夜。明日は大晦日という日で
した。
っておりすっかり暗くなり、も
う夜。明日は大晦日という日で
した。
そのギター弾きの青年は、街角でライ
ブのチケットを売っておりました。今
日中にあと20枚売らないと、明日の大
晦日カウントダウンライブのノルマが
達成できないのです。
青年は、ポケットにチケットを入れ、
片手にギターを持ち、もう片方の手に
古そうなギターアンプを引きずってい
ました。
そのアンプは、青年のギタリストだっ
たおじいさんの形見で、見た目は小ぶ
りなのですが、超強力なサウンドを生
み出す真空管アンプなのでした。青年
はライブの時にも、そのアンプをライ
ブハウスに持ち込むほど、肌身離さず
使っていたのです。
実は、青年はその日、あまりの生活力
のなさに呆れた彼女に、部屋を追い出
されたのでした。路頭に迷った青年は、
ギターとアンプを引きずって、それで
もチケットを売ろうとしていました。
しかし、そんな青年の必死の形相も、
暮れの街を歩く人たちにとっては恐ろ
しいばかりで、皆んな逃げていくので
した。
「くそー、電源さえあればこのアンプ
にギターつないで、一曲ぶちかまして
客引きするのになー」
青年は悔しそうにアンプを見ました。
すると、どうでしょう! 電源に繋が
っていないにもかかわらず、アンプの
チューブに火が灯っているではありま
せんか!
青年は驚き、しかし半信半疑ながらも、
ギターをアンプにつなげました。そし
て、ギターをかき鳴らしてみると、ア
ンプは大音響で鳴り響きました。
青年は、いつもバンドでやっているリ
フとギターソロを一心不乱に弾きまし
た。しばらく弾いていると、だんだん
人が集まってくるのを感じました。そ
れは1人2人と増えていくようでした。
青年がソロを弾き終えると、その人だ
かりから、割れるような拍手がおこり
ました。
「やったぜ!」
そう思って青年が目を上げると、最前
列に立っていたのは、死んだはずの彼
のおじいさんでした。
「素晴らしい! それだけ弾けるなら
大丈夫だ。おいで、私と一緒に行こう。
皆んな待ってるぞ」
「皆んな? 皆んなって?」
「皆んなだよ。B.B.とか、チャック・
ベリーもわりと最近来たな。プリンス
とか、ムッシュかまやつもいるぞ。そ
うだ、少し前にはトム・ペティーも来
たし。それに、もうすぐくるやつらも
多いらしい。○○○○○とか△◆♯と
か」
おじいさんは言うのでした。
「そうか、そんな場所があるなら行き
たいなー」
「そうだろう、毎日セッション三昧だ
からな。楽しいぞ!」
その時、青年のアンプのチューブがそ
れまでにも増して明るく輝き、その瞬
間、二人は、輝く光と喜びに包まれて、
高く、とても高く飛び、 やがて、もは
や寒くもなく、空腹もなく、心配もな
いところへと旅立ったのでした。
間、二人は、輝く光と喜びに包まれて、
高く、とても高く飛び、 やがて、もは
や寒くもなく、空腹もなく、心配もな
いところへと旅立ったのでした。
けれど、あの街角には深夜を過ぎても
あのかわいそうな青年の姿がありまし
た。売り物のチケットをポケットに、
片手にはギターをにぎりしめ、もう一
方の手で、アンプを抱えるようにして、
古い一年の最後の朝をむかえる前に凍
え死んでいたのです。
誰も青年がどんなに素晴らしい所に行
ったのか、知る人はいませんでした。
青年がおじいさんと一緒に、ギター・
レジェンドたちの集うあの場所に行っ
たと想像する人は誰一人いなかったの
です。
(ちょっとしゃれにならんかなーw)
て、ことで。
それでは、また。( ̄▽ ̄)
注:下記ページを参考にしました。
お読みいただきありがとうございま
した。こんな話やら、セッションノ
ウハウ情報などお届けする無料のメ
ルマガをやっておりますので、よろ
しければご登録ください。その他、
色々な音楽企画やシニアライフにま
つわる話題をお届けしております。
こちらからどうぞ。▼▼▼
https://seniorlife.sakuraweb.com/page-48/