(前回の続きです)
まだかな。岡山駅のすぐ近く
で俺は待っていたのだが、男の
気配はなかった。
で俺は待っていたのだが、男の
気配はなかった。
気が変わったのかな。まあ、考えてみ
れば、普通こんな約束しないよなあ。
俺はそう思ってホテルに戻ろうかと考
え始めた。と、その時
ボンソワール、お待たせしました。男
の妙に鼻に抜けた声が急に背後からし
たので、俺は驚いて飛び上がりそうに
なった。
うわっ、いつの間にどこから来たんで
すか?しかもボンソワールって、何で
フランス語なんですか?
20歳ぐらいのとき南仏に留学してまし
た。男は言って、さてどこに行きまし
ょうかと俺の腕を引っ張って歩き始め
た。
そう言われても私もよく知らないんで
すよ。俺はそう言ったが、男は気にも
止めない様子で、その近辺の店を物色
し、ここにしましょう、と言った。
そこは、いくつもの個室に別れたタイ
プの居酒屋だった。ここなら落ち着い
て話ができそうだし、なんせ私バチカ
ンからこっちに来たばかりで、日本食
久しぶりなんです。いいですか?男は
そう言って俺を見た。
構いませんけど、バチカンて?
あー、ちょっと今バチカンとビジネス
してるんです。岡山には親戚がいて時
々遊びにきます。
バチカンとビジネス?俺はそう思った
が、結局、男に腕を引かれるままに店
に入り案内された個室に落ち着いた。
そして乾杯し、食べ物をオーダーし、
さらに話を続けた。
そんな流れの中で、俺がギターを弾き
ジャムセッションをやっているという
と、男は身を乗り出すようにしてきた。
それ素晴らしいです。私もギター弾き
ます、セッションします、という。
色んな所でセッションするのが私の趣
味です。この間もモロッコでセッショ
ンホストしてきました。
モロッコでセッションホストですか?
と俺が驚いていると、あなたはホスト
はしないんですかと尋ねてきた。
いや、私はホストやるほど上手くない
ですから、というと、男は、楽器の上
手い下手はホストの良し悪しと関係な
いです。楽しくセッションを仕切れる
ホストをたくさん増やして、世界中で
ジャムセッションの現場を作って、仲
間同士繋がっていきたいんです。と言
うのだった。
どうですか、一緒に世界の人たちとセ
ッションしに行きませんか?男はさら
に畳み掛けてきた。いや、そんな一緒
に世界とか言われても…と俺は口ごも
んだ。
大丈夫、案ずるより Take It Easy と
おじいさんもいってました。私がつい
てます。プエルトリコ生まれソウル育
ち、フランス語もできます。バチカン
語も少し…
バチカン語なんてあるんですか?と俺
は聞こうとした…
…ところで、肩を大きく揺すられて目
が覚めた。
目をあげると、居酒屋のテーブルの向
こうではいつもの同僚がスマホをいじ
っていた。目が覚めたか?よく寝るや
つだなあ。
いや、バチカン語が…。俺は言った。
バチカン語なんてあるわけないだろう。
同僚は言った。あそこはローマのほん
の一区間みたいなもんなんだから。
だよなぁ。俺は言った。あれは、しか
し、あの男は単なる夢だったのか?ジ
ャムセッションの話は…
ジャムセッションといえば、最近九州
のほうにいる鳥越とかいう人のメルマ
ガを読んでるんだが、これはいいぞ、
と同僚は言った。なかなかタメになる
ことが書いてある。ギターも上手いし。
▼▼▼
http://sound-bird.net/blog/?p=1673
おまえもジャムセッションがいいとか
楽しいとかなんとか人にいうなら、こ
れくらい人を感心させることをいって
みたらどうだ?同僚は続けた。
同僚は、スマホの画面を俺に見せた。
そこには、あのプエルトリコ生れソウ
ル育ちの男の顔があった…。
こうして岡山の夜は更けていった。
(例によって、これはフィクションで
す。現実の出張や人物とは関係ありま
せん。…あれ?)
て、ことで。
それでは、また。( ̄▽ ̄)
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