私の好きなスタンダードに、
『スピーク・ロウ』(Speak
Low)という曲があるんですが。
『スピーク・ロウ』(Speak
Low)という曲があるんですが。
1943年のブロードウェイのミュージ
カル “One Touch of Venus” (『ヴ
ィナスの接吻』という邦題がつけられ
てますが、これは後に映画化された時
のものですね)のために書かれた曲で
す。
ビリー・ホリデイやビル・エヴァンズ
など、多くの歌手やミュージシャンが
カバーしています。最近ではトニー・
ベネットとノラ・ジョーンズがデュエ
ットしている動画がありますので、ま
ずは聴いてみましょうか。
▼▼▼
ラブソングですね。
で、
このミュージカル、どんな筋かという
と、主人公の青年が婚約者にあげよう
としている指輪を、美術館に展示され
ているヴィーナスの像の指にはめたと
ころヴィーナスがいきなり動き出すと
いうお話だそうでして。
当然のことながら(?)ヴィーナスは
その青年に恋をして、彼を口説き出す
という……ま、ラブコメですね。
この曲、作曲をしたのが『マック・ザ
・ナイフ(別名モリタート)』などで
も有名なクルト・ヴァイル(英語読み
だとカート・ワイルかな)というドイ
ツ人の音楽家です。この人はユダヤ系
のため、1933年にナチスから逃れて
アメリカに渡り、ミュージカルの仕事
をしたりしていたんですね。
ドイツ時代に書いた『マック・ザ・ナ
イフ』と比べてずいぶんアメリカナイ
ズされた印象を受けるのは、そんな時
期の作品だからでしょうか。AABA’
という形式の曲ですが、A(A’)の
ところが16小節なのに、Bは8小節
しかない、という少々変則的な曲でも
あります。
ところが16小節なのに、Bは8小節
しかない、という少々変則的な曲でも
あります。
そして、作詞はオグデン・ナッシュと
いう人で、ミュージカルの脚本も書い
ています(共作)。日本ではあまり有
名じゃないと思いますが、アメリカで
はこうしたユーモラスな詩を書く詩人
として、とても人気のあった人のよう
です。ラジオなんかにも出たりしてい
たとか。
そして、
この曲の最初の一節なんですけど、
Speak low when you speak, Love
となってまして。「話す時はささやく
ように話して、愛しい人」といったよ
うな意味ですが……
これ、実はシェイクスピアの喜劇『か
ら騒ぎ』の有名なセリフ
Speak low if you speak love
(恋を語るときは声をひそめよ)
のもじりなんですね。
そんなわけで(?)この曲の成り立ち
には、色々な要素が絡んでいるわけで
すね。後にはアメリカのジャズマンた
ちも好んで演奏するようになるわけで
すが、実は背景には結構ヨーロッパ的
なものとアメリカ的なものが入り混じ
っていたりするわけです。
最後に、ソニー・クラーク(ピアノ)
のセクステットの演奏を聴いてみまし
ょうか。コルトレーン(テナー)、ド
ナルド・バード(トランペット)、カ
ーティス・フラー(トロンボーン)、
ポール・チェンバーズ(ベース)、ア
ート・テイラー(ドラム)という錚々
たるメンバーです。▼▼▼
て、ことで。
それでは、また。( ̄▽ ̄)
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