ロスト・イン・ブレックファスト?

ったく、なんで出張に来て
朝からお
前と街中を朝飯探して
うろつかなきゃ
いけないんだ?
と同僚が言った。

 

しかたないだろう、朝食付きのプラン
がとれなかったんだから。俺は言った。

 

今回出張するのは、何週間も前からわ
かってたことじゃないか。同僚は俺へ
のいやみを止めない。

 

早めに押さえておけば、こんなことに
ならなかったんだ。

 

それはどうかな。俺は言った。

 

今週は、この街で大きな学会があるら
しいんだ。部屋がとれただけでも幸運
なんだよ。それに、クライアントのし
んさわ部長は気の変わりやすい人だか
らな。直前に変更くらってキャンセル
料とかとられたくないだろう。

 

それにしたって、前日まで何もしてな
いなんて、信じられないね。まったく
これだから、ジャムセッションなんて
刹那的なことをしてる奴は困る。同僚
はまた俺の趣味への当てこすりを始め
る。

 

ふん、じゃあギターデュオなんてしん
きくさいことが趣味のお前が自分で手
すりゃいいいじゃないか。さぞかし
ちまちました朝食をだすちまちました
ホテルがとれただろうよ。

 

しまった。ちょっと言いすぎたか。俺
は同僚がマジ切れしまいかと身構えた。

 

それより、お前の言ってたその老舗の
喫茶店ってまだなのか?俺の予想に反
して同僚は言った。よっぽど腹を空か
せているらしい。

 

ホテルで朝食が食べられないので、俺
地元のガイドブックを見て、モーニ
ングサービスをやっていて人気のある
古くからの喫茶店を見つけ、向かって
いる途中なのだった。

 

大丈夫だよ、その先の所だと思う。前
にも来た街だし……

 

迷うはずはない、と言おうとして、俺
は言葉を飲み込んだ。

 

何かおかしい。見覚えがあるようで、
ちょっと違う。考えてみれば前にこの
辺りを歩いたのは夜だったのだ。明る
い朝の光の中で、今一つ自信が持てな
くなってきた。

 

この先の角を曲がればいいはずだが、
と思って曲がってみたが。それは俺の
思っていた場所とは違った。次を左?

 

……そこは袋小路だった。

 

俺たちは今どこにいるんだ?いかん、
軽いパニックになっている。知ってい
るはずの曲なのに、ロストしてしまっ
た。そんな気分だ。

俺は立ち止まって、回りを見回した。
同僚の冷たい視線を感じながら……

 

……というところで肩を揺さぶられて
こされた。

 

まったく、マッ○の固いベンチシート
でよく寝られるもんだな。同僚がソー
セージエッグマ○ィンを頬張りながら
いう。

 

さっさと食っちまわないと、クライア
ントとの打ち合わせに遅れるぞ。

 

……俺はコーヒーをすすりながら朝○
ックのフィ○オ○ィッシュに手を伸ば
した。いやな夢を見たものだ。クライ
アントとのミーティングが急に不安に
思えてきた…

 

 

(例によって、今回のお話はフィクシ
ョンで、現実の出張とは関係ありませ
ん)

 

て、ことで。

 

それでは、また。( ̄▽ ̄)

 

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