田舎のギタリストがSNSで知
りあった都会のギタリストを自
宅に招待しました。
田舎のギタリストは都会のギタリスト
を自宅に作ったスタジオに招き入れ、
自慢の大出力のアンプにギターを繋い
で弾いてみせました。
都会のギタリストも最初のうちは喜ん
で大音量でギターを弾いていましたが、
そのうちにこういいました。
「ギターを弾くのはこれくらいにして
ライブハウスにでも行って、音楽を楽
しみながら酒と食事でもどうだい?」
「ライブハウス? そんなものはこの
村にはないよ。この村に外からミュー
ジシャンが来たのは、3年前の盆踊り
が最後だな」
そうすると、都会のギタリストは、
「君はこんな退屈な生活をよく暮らせ
るな。ねえ、僕のところへ来ない?
そうすれば、面白いことがいっぱい経
験できるよ」
といいました。
田舎のギタリストは、それもいいなと
返事をしたので、2人は連れ立って都
会に向かいました。
自分の住む町に着くと、都会のギタリ
ストは田舎のギタリストをお気に入り
のライブハウスに連れて行き、楽しい
時間を過ごしました。ライブが終わる
と2人は上機嫌で、都会のギタリスト
の住むマンションに帰りました。
「いやー、ご機嫌だなあ。良いライブ
だった。ギタリストも良かったし。あ
のリフはカッコよかったな」
田舎のギタリストは、都会のギタリス
ト部屋にあったギターを手に取り、ア
ンプに繋げてかき鳴らしました。する
と、隣の部屋の住人が、壁をドンドン
と叩いて「うるさい!」とどなりまし
た。
都会のギタリストは慌てて、
「こんな夜中にアンプに繋いでギター
を弾いちゃだめだよ」
そういって、田舎のギタリストからギ
ターを取り上げました。
すると、田舎のギタリストはいいまし
た。
「家でギターを好きなだけ弾けないよ
うな生活はごめんだね。田舎なら、ど
んだけ弾いても文句いわれないから、
僕は田舎に帰るよ」
そういって、ドアを開けて出て行こう
としましたが、ちょうどそこに、都会
のギタリストの妹が帰ってきました。
「あら、こんばんは。あなたが兄のお
友だち? もう帰っちゃうの?」
「あ、いえ。ちょっと外の空気が吸い
たかっただけですぅ」
都会のギタリストの妹がなかなかの美
人だったので、田舎のギタリストはそ
のまま都会に居つきましたとさ。
教訓:結局それかよ
て、ことで。
では、また ( ̄▽ ̄)