みなさん、リズム・チェンジ
と聞くと何のことだと考えます
か?
「リズム・チェンジ」っていうくらい
だから、曲の途中でリズムが変わるこ
となんじゃないの? 4ビートからラ
テンになったり戻ったりとか、8ビー
トからファンクに変わったりとか?
4拍子が3拍子になったりとか?
そうですよねえ、そう思うのが自然だ
と私も思いますし、実際そういう意味
で使われることもあると思います。
ところがね、
英語では、特にジャズ・ミュージシャ
ンの間では、この言葉は曲のリズムと
は全く関係のない別のことを意味する
んですね。なんじゃそりゃ。
ジョージ・ガーシュイン作曲(作詞は
アイラ・ガイーシュイン)の曲で『ア
イ・ガット・リズム』 (I Got Rhythm)
というのがあります。▼▼▼
1930年頃にブロードウェイのミュージ
カルのために書かれた曲でもちろんス
タンダード・ナンバーなんですが、こ
の曲の特別なところは、
この曲のコード進行を流用して書かれ
た曲がたくさんある
ってことなんですね。で、書かれたそ
の曲が新たにスタンダードになったり
もしているのです。
例を挙げると、チャーリー・パーカー
の『アンソロポロジー』とか、レスタ
ー・ヤングのシグネチャー・ソングで
ある『レスター・リープス・イン』と
か、ソニー・ロリンズの『オレオ』と
か。▼▼▼
つまり、リズム・チェンジというのは、
『(アイ・ガット・)リズム』のチェ
ンジ(コード進行)のこと
……なわけです。ジャズの世界では、
こうやって他の曲のコードを借りて作
曲することは良く行われるのですが、
アイ・ガット・リズムは特別多いとい
うことなのですね。
パーカーなんかは、Aメロ部分は別の
曲のコード進行を借り、Bメロはこの
アイ・ガット・リズムのコードを使っ
た曲を書いたりもしています(スクラ
ップル・フロム・ジ・アップル)。
アメリカなどでは「Fのブルーズ」と
か「I-iv-ii-Vの循環」とかと同列な感じ
で「リズム・チェンジ」という言葉が
使われているようでして。セッション
なんかでは「リズム・チェンジ」で即
興でジャムるなんてこともよくあるよ
うです。
そんなわけで、外国の人とジャム・セ
ッションをしてみたい、とお考えの方
は、「リズム・チェンジ」押さえてお
かれた方が良いかもしれません。
て、ことで。
それでは、また。( ̄▽ ̄)