朝だ。
私はベッドを出て、リビングに向かっ
た。
昨日も夜中過ぎまで受験勉強をしてい
た。まだ頭が半分眠っている。まった
く高校3年生なんてなるもんじゃない。
とりあえず、パジャマの上にカーディ
ガンを羽織って、テーブルに座った。
起き抜けでまだ食欲がない。
おはよう、ソファでテレビを観ていた
父親が言った。おはよう、私も返事を
する。
実のところちょっとドキっとした。父
親はあのことに気がついているのだろ
うか。どうもそんな様子はないようだ。
また値上げかぁ。父親はニュースを観
てひとりごとを言っている。
私は、テーブルに出されていた朝食を
食べ始めた。しかし、いつあのことに
父親が気がついて騒ぐかもしれない。
私は気が気ではなかった。
まあ、そうなったらそうなったで、知
らないふりをきめこむしかないのだが。
一週間ほど前のことだ。
自分の部屋で受験勉強をしていた私は、
その時家に一人でいた。勉強がひと区
切りしたので、ちょっと休憩すること
にして、私は冷蔵庫からお気に入りの
炭酸水のペットボトルを取り出してフ
タを開けて飲みながら、父親の部屋に
入った。
ときどき私は家で一人の時、父親の部
屋に入ってみる。なんだかギターとか
その関連の機材とか、ギターを弾かな
い私にはわけのわからないものが沢山
ある、それが逆にちょっと面白いので
ときどき覗いてみるのだ。
別に何するわけでもない。以前、学校
の音楽の授業で使おうと思ってギター
を1本無断で借りたら、すごい剣幕で
怒ったのでそれ以降はギターには触ら
ないようにしている。
そのうちまた何か持出してやろうかと
思っているが、それはまた別の話だ。
その日、勉強でちょっと疲れていた私
は足もとへの注意がおろそかになって
いたのかもしれない。父親の部屋の何
かに足を引っかけてしまった。
倒れそうになった私は手近にあった本
棚かなにかに捕まって、ころぶのを防
いだ。
それは良かったのだが、手にもってい
た炭酸水のペットボトルを落としてし
まい、ペットボトルは、床に置いてあ
った手提のついて紙袋の中にそのまま
落下してしまった。
袋の中は水浸しだ。まわりの床にも水
が飛散っている。
私は慌てて、洗面所から雑巾を持って
きて、床にこぼれた水を拭取った。紙
袋の中も出来るだけ水を雑巾で吸取っ
たが、中にある小さな箱というか紙の
ケースには水がかなり染込んでいるよ
うだった。
どうしよう。私は思ったが、こんな所
に無造作に袋を置いておく方が悪いと
いう結論を無理やり自分に言い聞かせ
その紙袋を目につかない部屋の隅の方
に押込んで、そのまま部屋を出た。
そんなことがあってから、父親の様子
を観察していたが、おそらく気がつい
ていないようで、一週間が過ぎていた。
朝食を食べ終わった私は、学校に行く
仕度を始めた。
ほぼ仕度が終わって、髪の毛のカーラ
ーを外していたちょうどその時、父親
の叫び声が聞こえた。
なんだこれは!
まずい。気がついたらしい。私はカバ
ンを手に取ると玄関に突進した。
いってきまーす。
早足で外に出て、そのまま学校に向か
った。後は野となれだ。
母親が後は何とかしてくれることを祈
るのみだ。(中編へ続く)
※このお話はフィクションですので、
現実の女子高校生、受験勉強等のその
生活とはおそらく無関係です。
て、ことで。
それでは、また( ̄▽ ̄)
お読みいただきありがとうございま
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