(またまたこちらの続きです)
朝だ。
朝は苦手だ。しかし娘に朝食を作って
やらないと……と、思ったが、すぐに
今日は夫が朝食を作る番だということ
を思い出した。
よかった、まだ寝ていられる。
私は、また引き込まれるように眠りに
ついた。
どのくらいまた眠っていたかよくわか
らないが、その眠りから私を引きずり
出したのが夫の声だった。
なんだこれは!
それで目が覚めてしまった。なんなの
だいったい。岡本太郎か?
まったく朝から何を騒いでいるのか。
夫の声はまだ続いて聞こえてきていた。
よくわからないが、何か夫にとっては
ひどいことが起こったらしい。
私は寝床から抜け出し、リビングに向
かった。すると娘が飛び出してきて、
いってきますと言って玄関を出て行っ
てしまった。
そんな慌てる時間でもないだろうに。
リビングに行ったが、夫は自分の部屋
でわめき散らしているようだ。
何よ、どうしたのよ。うるさいわね。
私は夫の部屋のドアを開けて言った。
お、俺のギターの弦がぁ。夫は私の顔
を見てまた叫んだ。
あー、うるさい。大声出すのやめて。
静かに話しなさいよ。私は強めの口調
で言い返した。
だ、だから俺のギターの弦が……錆び
て……値上がりしてるから……
夫は叫ぶのはやめたが、言ってること
が要領を得ない。だから落ち着いて話
しなさいよ。わけわからないじゃない
の。私がさらに強く言うと、さすがに
夫も最初から説明を始めた。
早い話が、前に大量に買って部屋に置
いていたギターの弦を見てみたら、水
か何かをかけられたようで、かなりの
数が錆びているというのだった。
何を朝から騒いでいるかと思ったらそ
んなこと? 私は呆れて言った。
そ、そんなことってことはないだろう。
今ギターの弦だって値上がりしてるん
だ。せっかく安いうちに買っておいた
弦だったのに。ギターの数だって多い
んだから、俺の小遣いに影響する……
夫は逆上して言い返してきた。
私はそれにカチンときた。
じゃあ、そんなにたくさんあるギター
の数を減らせばいいんじゃないの?1、
2本残して処分すれば、使う弦だって
少なくてすむでしょ。なんなら、私が
売ってきてあげるわよ。
私の剣幕に押されたせいか、夫は黙っ
て、そのまま部屋のドアを閉めて引き
こもってしまった。まったくギターの
ことになると子供より始末に悪い。
ぜったい娘のしわざだ。私は確信した。
なんで私に黙っていたのだろう? 私
に言えばギターの弦なんてさっさと始
末してやったのに。
そういえば、ギターの弦というのはス
チールのはずだ。それって金属回収の
業者に売れないのだろうか? ある程
度まとまった量なら引取ってもらえる
かもしれない。調べてみよう。
私は、朝食を食べながら、そんなこと
を考え出していた。
※このお話はフィクションなので、特
定の家庭や親子関係、夫婦のもめごと
とは無関係ですよ。いやほんまに。
て、ことで。
では、また ( ̄▽ ̄)
お読みいただきありがとうございま
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