(今回のお話もフィクションです)
あなた今日も家で仕事なの?
私は夫にたずねた。
そうだよ。夫は答えた。何か自分の部
屋でごそごそやっているようだ。
会社からテレワークの指示があったと
いうことで、昼間はその部屋でコンピ
ューターの前にほぼはり付いている。
動く気配がするのは珍しい。仕事時間
以外はギターを弾いている。
以外はギターを弾いている。
そう。
私は返事をして。ため息をついた。こ
う毎日夫が家にいることになるとは。
しかし、あれほどコンピューターの前
に座りっぱなしで何をしているのだろ
う、そんなに仕事熱心だったっけ、あ
の人は?
ともあれ仕方がない。私は午後から子
供の学校のことで出かける用事があっ
たので、気持を切替えようとした時、
夫の部屋で音がした。
どうしたの?
私が夫の部屋の覗き込むと、夫はなに
やら、部屋にあるものを動かしていた。
片隅には雑多な物が集められている。
い、いやほら、ずっと部屋にいると、
なんかどうでもいいものが多いなって
思っちゃってね。少し整理しようかと
思って。
ふーん。なんか変ね。
な、なにが変だよ。いつも部屋をかた
づけろって君だって言ってるじゃない
か。
なんていうか、なんでそこのところだ
け物がない空地みたいになってるのか
しら?
私は夫の部屋の一角を指さした。夫の
趣味のギターが何台も並べてある隣だ
った。本当になんであんなにギターが
必要なのだろう?
え?あ?……なんでもないよ。別にた
またまで……
夫の顔に明らかに動揺が見える。
正直に話した方が身のためじゃないか
しら?
な、なにを正直に言うんだよ。お、俺
は何も……
そこに、玄関のチャイムが鳴った。
すみませんアマ○ンです。
ドアフォンの向こうから声がした。
夫は慌てて玄関に向かった。「午後配
達でたのんだじゃないか」という夫の
声が聞こえた。
夫は荷物をかかえて戻ってきた。大き
な段ボールの箱だった。
何を買ったのよ?
私は言った。
あ、いやなに、ちょっとインテリアを
ね。
またギター買ったのね?
え、いや。その。
正直にいいなさい!
私がドスの聞いた声で言うと、夫はへ
なへなと椅子に腰をおろした。
なんのことはない、コンピューターで
夫は日がな一日楽器のオンラインショ
ップを覗いていたのだった。配達員が
時間を間違えなければ、彼の数多くの
ギターに紛れて、私は気がつかないで
終わっただろう……
私は、虚脱感におそわれそうになりな
がら天井を見つめていた。そして、目
を下ろして、再び夫を見た。
恐怖におののく夫の顔が見えた。
※このお話はフィクションですので、
現実の家庭、ギター、夫婦間の力学と
は無関係です。
て、ことで。
では、また ( ̄▽ ̄)
お読みいただきありがとうございま
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